『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』(聖剣3リメイク、聖剣ToM、トライアルズオブマナ)の体験版が配信され、海外ではすでにMODの作成が進められています。
しかし、あらゆるゲームにおいてMOD作成は海外がメインで日本では盛んに行われてません。特にUE4製ゲームは多数存在するもののUE4用MOD作成に関する日本語記事は皆無です。
国内PCゲーマーが少ないのが最大の理由だとは思いますが、『聖剣3』原作は海外未発売で認知度が高いとは言えないので海外任せだとあまりMODが作られない可能性があります。
私は素人ながら『FF15』のMOD作成記録をまとめたことで、国内ユーザーによるMOD増加に貢献できたと実感してるので、『聖剣3』およびUE4(Unreal Engine 4、アンリアルエンジン4)用のMOD作成ガイドとしてまとめることで国内でもMOD文化が広まることを期待してます。
また、MODが多いこと自体が売上増に繋がると考えてるので、作ったMODは最低でもSNS、できればNEXUSに投稿して欲しいです。(センシティブなものを除く)
UE4採用タイトル和ゲー例:FF7R、KH3、DQ11、エースコンバット7、DBファイターズ、DBZカカロット、SF5、鉄拳7、テイルズオブアライズ、鬼滅の刃、アイドルマスター
1.必要なもの
必要ソフトは各項でリンクします。
・100GB程度の空き容量(Dドライブ等に作業フォルダを用意)
・QuickBMS
・unreal_tournament_4.bms
・UE Viewer(umodelとも呼ばれる)
・Blender(フリーの3Dモデリングソフト)
・画像編集ソフト(GIMP、ペイント等)
・Epic Gamesランチャー
・Unreal Engine 4
・u4pak または Unrealpak
・それなりのPCスキル
ちなみに私はFF15MODで初めて3DモデルとBlenderを触り、今回初めてUE4を触ったくらいなので一応誰でもできるレベルではあります。
3Dモデルについても私は内部データを流用して触るだけで何かを作ったりはできません。
2.参考サイト
最初に参考にしたMODディスカッションスレは削除されたので、代わりに個人的に一番参考になって何度も見た動画であるUE4製『鉄拳7』の改造ガイドを貼っておきます。(比較的短く文字解説なので理解しやすい)
この通りにしても『聖剣3』用のMOD作成は無理ですが他のUE4用MOD作成の参考にはなると思います。
[20/4/28追記]
『聖剣3』用の完全な作成ガイド(以下、海外ガイド)ができてました。
●Trials of Mana Mod Creation Guide
基本的にはここを見ることでモデル編集&変換もできます。ただ、ここの添付ファイルをDLするにはアカウント登録とログインが必要です。
本記事の以降の内容については日本語訳しただけの部分も多いですが、UE4での操作やキャラ置き換えについては本記事の方が分かりやすくなるよう心掛けました。
[20/6/18追記]
『聖剣3』のModding Discordに日本語チャンネルが作られました。
MODについての質問や情報交換する際はこちらをご利用ください。(本記事コメントだと分かる範囲でしか回答できず私の負担も大きいので。。)
●Trials of Mana Modding - Discord
[20/8/17追記]
本ガイドはそれなりのPCスキルがあることを前提としており初心者向けではないので、初心者の観点で補足していただきました。
●聖剣伝説3MOD制作ガイド 超初心者の自分がわかりにくかった事まとめ
モデルリストもまとめていただいてます。
●聖剣伝説3 MOD制作 Umodel_Morphキャラリストまとめ
[22/8/25追記]
まちゃラテ氏による『FF7R』のMOD作成ガイドとも言える記事。
特にMODファイル(.pak)に関するTipsは非常に重要で、pak化する際のファイル命名で知っておくべき情報です。
●FF7RのMOD作成に関する情報まとめ
[24/10/27追記]
『聖剣VoM』では同じ方法は使えないものの手順自体は簡単になってたのでメモレベルでまとめてます。『ロマサガ2R』でも同じ方法でMOD化できるとのコメントもありました。
●『聖剣VoM』UE4用MOD作成メモ
3.pakファイルのアンパック(抽出)
UE4製のゲーム内ファイルは全て「.pak」という拡張子で暗号化されてます。
標準インストールであれば「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common」に各ゲーム毎のフォルダがあり、内部にゲームを構成する全てのファイルがあります。
『聖剣3』のpakファイルは、「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\Trials of Mana\Trials of Mana\Content\Paks」にあり、「Trials of Mana-WindowsNoEditor.pak」という16GB弱のファイルです。
この「.pak」ファイルからコンテンツを抽出するためのソフトが「QuickBMS」です。
なお、目的のファイルが分かっている場合は、4項にて個別に抽出することも可能なため本項は飛ばして構いません。
というわけで以下から最新版の「QuickBMS」とアンパックスクリプトである「unreal_tournament_4.bms」を(Ctrl+Fでページ内検索して)ダウンロード。
QuickBMS
[22/8/25追記]
UE4はバージョンアップを繰り返しUE5もリリースされ、4.26/4.27/UE5で作られたゲームには別のアンパックスクリプトが必要となるようです。
アンパック段階ではUE4のバージョンは不明なはずなので、以降①~④で失敗した場合は以下のbmsを試してみてください。
unreal_tournament_4_0.4.27d_paks_only.bms [23/7/12 リンク切れ?のため私の手持ちファイル共有]
ダウンロードした「quickbms」フォルダに「unreal_tournament_4.bms」を入れて作業フォルダに置きます。
「quickbms_4gb_files.exe」をダブルクリックして以下の手順を行います。
①「unreal_tournament_4.bms」を選択。
②「Trials of Mana-WindowsNoEditor.pak」を選択。
③出力フォルダ(作業フォルダ)を選択。
④AESキーを要求される場合はここから「Kyes:」を「Show」して「0x~」をコピペする。[21/10/22追記]
これでアンパックされて③のフォルダに「Trials of Mana」フォルダと「Engine」フォルダ(基本的に不要)が抽出されます。『聖剣3』は約30GBでした。
pakファイルのサイズやPCスペックによってそれなりに時間がかかります。
[21/10/22追記]
④の手順として追記した通り、ゲームによってはAESキーで暗号化されているので調べる必要があります。(新作は掲載されるまで時間がかかる)
というか『聖剣3』がレアケースで大抵はAESキーが設定されてる気がします。
4.テクスチャ&モデル抽出
抽出した「Trials of Mana」フォルダ内を見るとUE4用の「.uasset」というファイルがありますが、UE4でパック(ビルド)する際に暗号化されるらしくUE4でも開けません。
この「.uasset」から3Dモデルを抽出するソフトが「UE Viewer(umodel)」です。
[21/12/21追記]
「UassetEditor」を使うことでuassetファイルを簡単に編集できます。
単純なキャラスワップであればモデリングの知識がなくてもBlenderもUE4も使わず置き換えMODを作ることもできます。
但し、『聖剣3』でモデルスワップした場合はサイズによってキャラが浮いたり地面に埋まったりするはずです。
関連記事:『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』UE4用MOD作成補足メモ
4.1 フォトリアル系ゲームの場合
以下からWin32 versionをダウンロード。
UE Viewer(Umodel)
ダウンロードした「umodel_win32」を作業フォルダに置きます。
「umodel.exe」を起動して以下の手順を行います。
①変換したいフォルダを選択して「OK」
今回は例としてアンジェラ「D:\work_ToM\Trials of Mana\Content\Character\Player\pc02\Model\pc02_01a」を選択。
他のゲームでは構成が異なるはず。
②「All pacckages」フォルダの「SK_pc02_01a.uasset」を選択して「Export」
ここで「Open」を選択するとモデルが見れる。
③出力先フォルダを選択して、meshは「psk」、textureは「png」を選択して「OK」
④UE4のバージョンで「4.22」を選択して「OK」
バージョンはゲーム毎に異なり、誤ったバージョンを選ぶとエラーが出るのでトライ&エラーで探し当てる。
これで出力フォルダに「SK_pc02_01a.psk」と「Texture」フォルダ内の「.png」ファイルに変換できました。
他のゲームだとpskファイル内に直接テクスチャが埋め込まれてたりそもそもフォルダ構成が違うはずです。
また、本項のumodelの使い方自体も少し間違っていてumodelは4.2項のように配置するのが正しいらしいのですが、抽出はできてるのでそのままにしておきます。
4.2 アニメ調ゲームの場合
『聖剣3』の場合、3Dモデルにモーフ(モーフィング)と呼ばれる顔のアニメーションが格納されていて、4.1項のumodelでは抽出できません。(FF15のようなフォトリアルでは顔のパーツそれぞれのボーンが独自に動いて表情を作るためモーフがない)
なので、海外ガイドStep 2から「umodel_morph」(4/30ver、umodel_morph_fix1と同じ)をダウンロードしてください。
これは『聖剣3』のために作られたものなので、UE4製の他のアニメ調ゲームにも使えるかは不明です。umodel公式も対応予定はないらしいです。
ダウンロードした「umodel_morph」の中身を「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\Trials of Mana\Trials of Mana\Content」に置きます。
変換する際MODを導入してるとそこから変換してしまうため対象キャラのMODファイルは除外してください。
「umodel.exe」を起動して以下の手順を行います。
①変換対象フォルダはそのまま「OK」
②『聖剣3』の全フォルダがツリー表示されるので変換したいモデルを選択して「OPEN」
今回はアンジェラクラス1「Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/SK_pc02_01a.uasset」を選択。
なお、ここで「tools→Save selected packages」とすると該当ファイルのuassetのみ抽出することが可能。 [21/12/21追記]
③UE4のバージョンで「4.22」を選択して「OK」
バージョンはゲーム毎に異なる。モデルが表示されるものの左下のAnimが0/0。
④「o」キーを押して上位の「Animation」フォルダを右クリック→「Open foler content(append)」
左下のAnimが増えて今回は0/405になる。
⑤Tools→Export current objectで出力フォルダを選択、Meshを「psk」と「pskx」に選択、「Export Morphed Models」にチェックを入れて「OK」
これで出力フォルダにベースpskファイルと複数のモーフpskファイル(今回は25個)が得られました。
ただし、「umodel_morph」ではテクスチャは出力されてないので、必要であれば別途テクスチャのみ選択してpngで出力してください。
既知の不具合:この変換だと最終的にアンジェラの口元にシワができます。(他キャラや他ゲームは?)
海外ガイド8ページ目にある「umodel_morph_fix2」を使い「gltf」エクスポートすることで改善できますが、私のスキルでは難しそう&手順が大変そうなので解説できません。3Dモデル中級者以上向けな気がします。
5.編集
変換したpskとpngファイルをMOD用に編集します。
5.1 テクスチャ編集
pngファイルは一般的な画像拡張子なのでペイント等でも開けます。
今回はアンジェラの髪テクスチャである「T_pc02_01a_hair01_C.png」を、別途抽出しておいたリースの髪テクスチャ「T_pc06_01a_hair01_C.png」で置き換えるので画像編集はしません。
ここでは動作確認のための置き換えなので本格的にMODを作る場合はGIMP等で編集してください。
テクスチャ名末尾のアルファベットは、C=カラー、N=ノーマルマップ、M=srmがRGBチャンネルに重畳したものと想定。s=スペキュラ、r=ラフネス、m=メタルネス。
色変えするならCのみ編集すればOKです。
関連記事:PC版『FF15』3Dモデルど素人がMODを作成してみる2
[20/8/17追記]
マテリアルにも色が存在するため、厳密にはCを編集しただけでは色変えは不十分です。
マテリアルはUE4上で編集することが可能で設定方法はDiscordにあるのでそちらを参照してください。私はマテリアルを触る予定はないため解説できません。
5.2 モデル編集
pskファイルはUE4用の3Dモデル拡張子なのでそのままでは開けません。
まずは、Blenderの「ファイル→ユーザー設定→アドオン」でpskプラグインを導入してください。(Blender2.8なら280 direct linkからDL)
Blenderは2.8からUIや細かな仕様が大きく変わって互換性もなくなってしまい、海外ガイド及び私もBlender2.8以降を推奨します。
ただ、私はFF15MODが2.79b推奨で縛られてるので以降2.79bにて解説します。(本項は海外ガイド見た方がいい)
ここではMOD化のための最低限の説明しかしないので、Blender自体の操作や用語は調べて慣れるしかありません。Blender解説サイトは無数にあります。
また、MOD初製作の場合やフォトリアル系ゲームは以降のモーフ関連の手順を省略して作ってみるのもいいと思います。
まずはBlenderを立ち上げ、最初にデフォルトのキューブとカメラを削除します。
海外ガイドではライトも削除してますが、テクスチャを貼った状態が見えなくなるのでライトは残してもいいと思います。
①左側のMiscのPskインポーター、またはファイル→インポート→pskで「Don't Invert root bone」のみチェックしてる状態で「全て」を選択してベース「SK_pc02_01a.psk」をインポート。
②同様に「メッシュ」を選択して、全てのモーフを一括インポート。2.79bの場合一つずつしかできない。
③100倍サイズでインポートされるので全身が見れる位置までビューを縮小。
④右側のアウトライナー上でベースの「SK_pc02_01a.ao」を「armature」にリネーム。
⑤「+」キーで一段展開して、末尾の「.」以降を全て削除、モーフの接頭辞「SK_pc01_02a_Morph**_」を削除。2.79bは一括リネームできないため一つずつ手動でリネーム。
リネームミスがあるとゲーム中の表情変化指示でおかしくなるはず。
⑥「-」キーで1段折り畳み、「Shift」キーを押しながら全てのモーフを下から選択し、最後にベースメッシュ「SK_pc02_01a」を選択した状態で、データタブのシェイプキー右下の▼にて「シェイプとして結合」
⑦armature以外の全てのモーフを削除。
⑧「編集モード」でマテリアルタブのfaceをクリックして「選択」(このときビュー上で別の頂点を選択していないこと)、ビュー上で「P」キー「選択物」で顔のみ分離。
必須ではないがこれをしないとモデルによっては顔のアニメーション時に不具合が出るらしい。
⑨分離したオブジェクトを「face」にリネーム、「face」オブジェクトのマテリアルタブでface以外のマテリアルスロットを「-」ボタンで削除、同様に「SK_pc02_01a」オブジェクトからfaceマテリアルスロットを削除。最後にアウトライナー上で「SK_pc02_01a」の「key」を削除。
face分離しない場合は不要な手順。顔以外にアニメーションを割り当てられているモデルがあるかもしれないので「key」削除前の状態で保存した方がいいかもしれない。
これでようやくモデルが完成したので自由に編集できます。
私は何かを作ったりはできませんが、新たに追加する場合はウェイトペイントやテクスチャが割り当てられてないためUVマップの焼き直しが必要だと思います。
何かを削除する場合はワイヤーフレームビューにして「B」キーでざっくり範囲選択後「Ctrl」+「+」連打すると楽です。
但し、「key」を持つオブジェクトの編集はNGです。
[20/5/20追記]
メッシュ移動について(海外ガイド10ページ目)。
Blender上でオブジェクトを移動してMOD化すると攻撃モーション時のみ移動したメッシュ位置で描画されます。以下、『聖剣3』における対策です。
アウトライナーのポーズ配下のrootとHips以外のボーンを複数選択して、「G」キー、「X/Y/Z」キー、数値入力で移動して「Ctrl+A」でデフォルトのポーズに適用。次にズレたメッシュを同じ要領で移動してそのままエクスポートすればOKです。
拡大縮小についてはrootかHipsボーンを「S」キー、数値入力により同じ要領でできます。
[20/6/15追記]
NPCキャラのMODでよく見かける頂点がスムージングされずにカクカクした状態の対処法として、本記事コメント31にあるように「スムーズシェード」させた方がいいようです。6.2項②のインポート設定変更も必要です。
最後に、
⑪ファイル→エクスポート→fbxで、「リーフボーン追加」と「ベイク済みアニメーション」のチェックを外してエクスポート。
Blender2.8以降ではスケール0.01倍。2.79bはスケール1倍。出力ファイル名はUE4上でも変えるので何でもいいです。
5.3 システムファイル編集 [20/4/28追記]
画質改善MODのようにシステムファイルを直接編集することでシステム系のMODにすることもできます。このMODはiniファイルをメモ帳で開いて直接編集する形式です。
とはいえ、ほとんどのシステムファイルはumodelで変換できずuasset,uexpを16進エディタで直接編集するくらいしか方法思いつかないのでハードルはかなり高そうです。
[20/5/21追記]
ちゃんと読めてはいないですが難易度MODを作られた方による解説がありました。
(Hex) Edit Trials of Mana
Serializer Fix
[20/8/17追記]
jsonファイルに変換できる場合は上記で編集可能ですが、変換できない場合にバイナリを直接編集する方法をまとめていただいてます。
【聖剣伝説3-ToM_mod】uassetとuexpファイルのバイナリ変更方法まとめ
6.uassetに変換
編集したファイルをuassetに変換するためにUE4を使います。
使用するUE4は最新版ではなく4項で選択したバージョンが必要です。
Epic Gamesランチャーを立ち上げてUnreal Engine→「ライブラリ」タブ→Engineバージョンのドロップダウンリストから「4.22.3」をインストール。
オプションは全て不要で私はDドライブにインストールしました。
6.1 テクスチャ置き換え
UE4を起動して以下の手順を行います。
①ブランクプロジェクトを作成(スターターコンテンツ無し)
②画面下側のコンテンツブラウザに置き換え先と同じフォルダ構成を作成
今回はアンジェラの髪を置き換えるので「Content\Character\Player\pc02\Model\pc02_01a\Textures」を作成。
③編集したファイルをドラッグ&ドロップおよび置き換え先と同じ名前にリネーム
今回はリースの髪テクスチャを入れて「T_pc02_01a_hair01_C.png」にリネーム。
④ファイル→プロジェクトをパッケージ化→パッケージング設定→「Use Pak File」のチェックを外す
これは『聖剣3』の場合で、チェックが入ってると「.ubulk」や「.uexp」が作られない。
⑤ファイル→プロジェクトをパッケージ化→Windows(64ビット)→出力フォルダを選択
出力フォルダはプロジェクト内の「Packaged」フォルダとするのが一般的らしい。
これで出力フォルダの「WindowsNoEditor」配下のフォルダ構成にアンジェラの髪置き換え用テクスチャ「T_pc02_01a_hair01_C」のuasset,ubulk,uexpファイルが得られました。
テクスチャ置き換えでのリパック対象はこの3ファイルのみです。
6.2 メッシュ置き換え
メッシュの置き換え例として、サイズ違いの確認も兼ねて今回はアンジェラでシャルロットクラス1「pc04_01a」を置き換えます。
UE4は私も初めてで戸惑いましたがやってることの意味さえ理解すれば非常に簡単です。単に参照先を新たに指定してあげてるだけのことです。(とはいえ海外ガイドがないと無理でしたが)
意味を理解するために、ここで3項で抽出したファイルを用います。
一旦シャルロットのメッシュ「SK_pc04_01a.uasset」をメモ帳で開き、1行目を見てみましょう。NPCや敵、他のゲームでは参照先が違うかもしれないため基本的に見た方がいいです。
/Game/Character/Common/skeleton/SK_pc_common_Skeleton
/Game/Character/Player/pc04/Blueprint/sub/pc04_01a_sub_ABP_kawaii
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_body01
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_face01
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_hair01_tes
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_tears
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_wear01_tes
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_01a_wear02_tes
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/Material/MI_pc04_eye01
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/SK_pc04_01a
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/SK_pc04_01a_shadow_Physics
文字化けを無視すると以上のファイルパスが記載されてます。
これは、シャルロットメッシュ「SK_pc04_01a.uasset」がゲーム中でどこのファイルを使ってるかが示されていて、今回置き換える際にはこの参照先を変えてあげればいいわけです。もちろん参照先は存在する本物のゲームファイルです。
なので、手順は色々ありますが、参照先の中身については何も触る必要なくUE4上で参照先を示すための空のファイルを作って関連付けてあげればいいのです。
UE4を立ち上げて以下の手順を行います。
①umodelのツリー表示等を参考に、アンジェラとシャルロットのフォルダ構成を作る。
以降の参照先ファイル名もツリー表示を見て入力すると楽。フォルダ名や階層がゲームと全く同じになるよう注意すること。
②シャルロットの「pc04_01a」フォルダに5.2項で作ったfbxをドラッグ&ドロップ。インポートオプションで「Use T0 As Ref Pose」と「Import Morph Targets」にチェックを入れて「全てインポート」。
同一プロジェクトを使用すれば以後同じ設定になっている。エラーが出ても無視。
[20/6/15追記]本記事コメント31によると、赤枠下の「Normal Import Method」にてCompute Normals→Import Normalsに変更した方がいいようです。
③メッシュを「SK_pc04_01a」にリネーム。スケルトンを「SK_pc_common_Skeleton」にリネーム。物理を「SK_pc02_01a_shadow_PhysicsAsset」にリネーム。
物理はアンジェラのものを参照したいのでpc02。
④マテリアルをアンジェラの「Material」フォルダに移動。
マテリアルだけはメッシュに関連付いた状態なので毎回ちゃんと移動させる。アンジェラのマテリアルを参照することでアンジェラのテクスチャが読み込まれる。
⑤「Character/Common/skeleton」を作成し「SK_pc_common_Skeleton」を移動。
スケルトンは次から流用できる。インポート時のスケルトンを削除し、メッシュをダブルクリックして「いいえ」から共通スケルトンを選択する。
⑥「Character/Player/pc02/Blueprint/sub」を作成し、右クリック→アニメーション→アニメーションブループリント(BP)を作りアンジェラの「pc02_01a_sub_ABP_kawaii」にリネーム。
同一キャラであれば次から流用できる。
⑦「SK_pc02_01a_shadow_PhysicsAsset」をアンジェラの「pc02_01a」にフォルダに移動。
同一キャラであれば次から流用できるのでインポート時の物理は削除していい。
⑧メッシュ「SK_pc04_01a」をダブルクリックし、左側のパネル上で物理を削除、Skeletal Meshでアンジェラのアニメーション「pc02_01a_sub_ABP_kawaii」を選択、Lightingでアンジェラの物理「SK_pc02_01a_shadow_PhysicsAsset」を選択。
ここで参照先を指定している。
⑨6.1項と同様にビルド。
プロジェクトは何度も流用できるので「全て保存」しておくのがおすすめ。
これで出力フォルダにシャルロット置き換え用メッシュである「SK_pc04_01a」のuasset,uexpが得られました。
メッシュ置き換えでのリパック対象はこの2ファイルのみで参照先となる空のファイルのuassetは不要です。
出来上がったuassetをメモ帳で開くと以下のようになっていて、アンジェラのファイルを参照するようにしただけと分かります。(置き換え対象のメッシュのみシャルロットを偽装してpc04になっている)
/Game/Character/Common/skeleton/SK_pc_common_Skeleton
/Game/Character/Player/pc02/Blueprint/sub/pc02_01a_sub_ABP_kawaii
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_body01
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_eye01
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_eye01b
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_face01
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_hair01
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_wear01
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/Material/MI_pc02_01a_wear02
/Game/Character/Player/pc02/Model/pc02_01a/SK_pc02_01a_shadow_PhysicsAsset
/Game/Character/Player/pc04/Model/pc04_01a/SK_pc04_01a
尚、スケルトンがfbxのボーン名を用いた体の動きの指示、アニメーションが表情、物理が髪や服のヒラヒラ等の物理表現だと思います。
また、共通スケルトンを使ってないキャラで置き換える場合はBlender上でボーン名を変更して共通スケルトンを参照する必要があります。
7.pakファイルにリパック
最後にゲームで認識できるようにリパックするソフトが「u4pak」ですが、これが最難関で未だに使い方がよく分かりません。
『ストリートファイター5』用のファイルを使うことで一応出来た方法を記載しておきます。これを使うことで手順自体は簡単になりますが、なぜできるのか意味不明です。
まずは以下の2か所から「u4pak」をダウンロード。[Tutorial] How to pack a mod into a .pak file
u4pak(本来はこれだけでリパックできるはず)
[20/5/20追記]
「u4pak_SFV」及び海外ガイドの「u4pak_ToM」共にDL時と中身のexeファイルに危険性があるとコメントがあり、「u4pak-master」のu4pak.pyから安全な「u4pak.exe」化してもらいました。リパックする際エラーが表示されますがpakファイルは作られていてMOD動作することも確認済みです。
必要なファイルをまとめて「u4pak_ToM」としたので以下からダウンロード(広告が開いても無視)してください。
Here is a secure "u4pak.exe" file from u4pak.py.
u4pak_ToM.zip
[20/6/15追記]
ダッシュ&ジャンプ力MODにてUnrealpakでもリパックできることが分かりました。
readmeによるとEpicが作成した公式ツールらしく、圧縮率が高く読み込みが高速になるようです。
以降の手順③と同様に配置し、④にて「UnrealPak-With-Compression.bat」にドラッグ&ドロップすればOKです。
以降「u4pak_SFV」を「u4pak_ToM」と読み替えてください。
①「u4pak_SFV」フォルダに「u4pak-master」フォルダの中身をマージ(必要ないかも)して作業フォルダに置く。
②「DROP_MOD_FOLDER_HERE-SFV.bat」を右クリック→編集(メモ帳)で開いて「StreetFighterV」の3か所を「"Trials of Mana"」に書き換える。
この書き換え名は「steamapps\common」の各ゲームフォルダの一つ下(Contentフォルダの上)のフォルダ名で、スペースがある場合は" "で挟む必要があります。「u4pak_ToM」は書き換え済み。
③「u4pak_SFV」フォルダ内に「ゲーム本体ファイル名_***」または「***_P」フォルダを作成し、配下に置き換え先の本来のフォルダ構成の場所に7項で取得したファイルを置く。
必ず「u4pak_SFV」フォルダ内で作業すること。***は任意。テクスチャ、メッシュによらずどちらの命名形式でもOK。命名形式はUE4バージョンに依存する?
今回のテクスチャ例:「u4pak_SFV\Trials of Mana-WindowsNoEditor_***\Trials of Mana\Content\Character\Player\pc02\Model\pc02_01a\Textures」
今回のメッシュ例:「u4pak_SFV\***_P\Trials of Mana\Content\Character\Player\pc04\Model\pc04_01a」
④「Trials of Mana-WindowsNoEditor_***」フォルダまたは「***_P」フォルダを「DROP_MOD_FOLDER_HERE-SFV.bat」にドラッグ&ドロップ。
これで「pak」フォルダに「Trials of Mana-WindowsNoEditor_***.pak」または「***_P.pak」としてリパックされました。
他のゲームではファイル名が任意の「***.pak」でいい場合があるようです。
8.MODファイル導入
導入は簡単です。
「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\Trials of Mana\Trials of Mana\Content\Paks」に「Trials of Mana-WindowsNoEditor_***.pak」を置いて起動するだけです。
「***_P.pak」の場合は、「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\Trials of Mana\Trials of Mana\Content\Paks」に「~mod」フォルダを作りそこに置きます。
他のゲームでは「~mods」フォルダの場合があるようです。
管理しやすさを考えると「***_P.pak」の方がいい気がします。
サイズが異なるモデルの置き換えができることは参考動画で知ってましたが、シャルロット置き換えで分かったことはルートのHipsボーンを中心にモデルが描画され、関節の比率が異なっても共通スケルトンでそのまま動くということです。
ちなみに、『聖剣3』ではpakファイル名が不適切でも普通に起動してMODが適用されません。
例えば、今回のリパックを「Trials of Mana-Windows.pak」とするとMOD未適用で普通に動作します。「_P」なしでもMOD未適用で動作します。
エラーすら出ないので試行錯誤が大変でしたが、この情報を事前に知ってるだけでも効率が上がると思います。
また、ゲーム内に存在しないファイルを参照しようとする、存在しないボーンやモーフを参照されるとエラーでゲームが落ちると思います。
UE4は各ファイルのヘッダ情報にファイルパスが記載されていて変換がかなり大変ですが、u4pakのリパック方法とpakファイル配置さえ分かれば誰でもできるので是非チャレンジしてみてください。
ー2020/3/31
4項以降を全面的に追記修正しました。
ー2020/5/13
9.NEXUSに投稿
まず前置きを。
私も含めMOD作者のほとんどは自己満足で作成されてると思います。それで構いません。
しかし、私自身がそうであるようにMODの有無が購入の後押しになったりするのでMODが多いゲームというのは間違いなく売上増に繋がります。どんなネタMODであれ使ってみたい人は必ずいます。
自己満足なのに売上に貢献できて今後の展開にも期待できるようになるわけです。
なので、強制はできないですが飽きた頃でも構わないのでNEXUSにアップしてほしいのです。
[20/5/31追記]
他社に著作権があるものは控えた方がいいと思います。
また、例えば衣装DLC等の販売がある場合に、DLCを購入しなくても使えるようなMOD化は不利益に繋がるため絶対にNGです。(逆にDLC衣装を買うことで使えるようになるMODはDLC売上増に繋がるはず)
さらに、オンラインゲームは基本的にMOD禁止、公式に禁止とアナウンスされた場合も素直に公開停止しましょう。
一応NEXUSに投稿するメリットを挙げておくと、
1.後進プレイヤーが見つけやすい
2.海外プレイヤーが見つけやすい
3.MOD一覧で画像と概要表示されるのでどんなMODか一目で分かる
4.作ろうとするMODがすでに作られてるか見つけやすいので被らずに済む
5.複数のMODをまとめて投稿できる(HAYATさんのように自作MODをまとめるのもあり)
6.MOD作者以外も投稿できる
6なんかは某掲示板に貼られるいわゆる野良MODや、作者に許可を取ったうえで余裕のある人が代理投稿することも可能です。MOD作成できなくても売上に貢献できます。
逆にデメリットは、
1.基本的に英語 → 投稿することが大事なので全部日本語でもいい
2.投稿が分かりにくく非常にめんどくさい → 本項が参考になれば
3.英語で要望や指摘が来たりする → 無視していい
4.センシティブなものは削除される
4については『聖剣3』初期に設定年齢18歳未満の性的なものが削除されました。
真偽不明ですが18歳以上でも上半身はOK、下半身はNGと聞いたことがあります。センシティブなものはLoversLabに貼るか今のようにTwitterや掲示板配布するくらいしかなさそうです。
前置き長くなりましたがここからNEXUS投稿説明です。
①NEXUSにログインした状態で該当のゲームページ(『聖剣3』ならTrials of Manaページ)で右上のUPLOADから「UPLOAD A MOD」を選択。
投稿ページ上部で該当ゲームか確認。
②MOD投稿用の複数のタブが表示される。作業必須は4か所。
③以下を参考にMOD概要を入力する。
Chrome翻訳すると自身の英語入力も翻訳されてしまうので英語項目で説明します。
Type of file:「MOD」を選択。
Mod category
Category:「miscellaneous(その他)」を選択。『聖剣3』は執筆時点でその他しかない。
Categories suggested ~:「Character」を選択。本記事はキャラ改変が対象。
Suggest a new ~:空白。
Mod details
Mod name:MODタイトル。MOD一覧のタイトルとして表示される。他のMODと被るとNG。
Mod language:「English」を選択。ファイル名は英語のはずなので。
Current version:バージョンを自由に入力。
Author ~:著者または作者名。代理入力する場合はMOD作者名。
Brief overview:MOD概要。入力したものがMOD一覧で概要表示される。
Detail description:MOD詳細。入力したものがMODページで表示される。
Adult content:成人向けなら該当項目にチェックする。おそらくログイン中だけ表示されるMODになる。
上から 暴力/流血表現、ヌード、露出度の高い服装、性的な内容、悪態/冒涜。ゲーム中に見える範囲での公式衣装の改造(スカートを消すとか)ならノーチェックでいいはず。
Classiication:分類。キャラMODならノーチェック。
④右下の「NEXT」を押して「Media」タブに移動。以下を参考にMOD画像を最低一枚アップする。
Mod page header area:MODページのヘッダー画像。1400×400以下、400KBと制限が厳しいので無視でいい。
Your mod image:MOD画像。最低一枚必要で一枚目がMOD一覧ページに表示される。8MB以下。
他の項目は無視してOK。
⑤右下で「SAVE」して「Manage files」タブに移動。以下を参考にMODファイルをアップする。
File name:MODファイル名。***_P.pakでOK。
File vesion:バージョンを自由に入力。
File category:「Main Files」を選択。あとで編集する際に「Old versions」等にもできる。
File description:ファイル名で内容が判別できないようなら詳細を入力。空白でもOK。
Attach the file:zip等に圧縮したファイルをアップする。20GB以下でほぼ無制限。
SAVE FILE:選択するとMODページのFILESタブに表示されるようになり、さらにMODファイルを追加できる。
⑥右下で「SAVE」して「Publish mod」タブに移動。左下の「I'M READY ~」をクリックするとMODが公開される。
公開前に最終確認したければ飛ばして⑦に進む。
⑦右上のNEXUSアイコンを押して「Site preferences」から「MY FILES」タブに移動すると投稿したMODの編集や管理ができる。
以上です。
他のタブで権利関係とか設定できるので、顔含む全てを自作した場合はちゃんと入力した方がいいかもしれません。
とはいえ、MOD自体が元となるゲームがあってこそ動作する二次作品なのでその辺りの判断はおまかせします。
ー2020/5/20
MODDERが増えることを願ってこの記事を書いたので、MOD制作&投稿までしても…