『Clair Obscur: Expedition 33』(クレール・オブスキュール:エクスペディション サーティースリー、COE33、クレオブ33、なんとか33)の感想&レビューです。

70点基準で加減点、「仲間」がいないと-10点、ゲーム媒体ならではの体験重視、テンポや快適性が悪いと減点、ストーリーは採点対象外などのレビュー方針は以下のリンクより。
関連記事:ゲームのレビュー方針まとめ

1.概要

『アサクリ』などを作ったフランスUbisoft社員が独立して、JRPGをリスペクトして作られたターン制アクションRPG。
『FF7』~『FF10』、『SEKIRO』、ソウルライクなどから影響を受けたことが公言されている。
パリィができるターン制コマンド戦闘や、探索できるミニチュアワールドマップがあることが特徴。

項目内容備考
発売日2025/4/24
ハードPC/PS5/XboxX|S
外部ストアGreen Man Gaming
GameBillet
Steamより安い
メタスコア
ユーザースコア
93
9.7
PS5版
史上最高スコア
オープンスコア92
Steamレビュー95%圧倒的に好評
Amaonレビュー星4.5PS5版
ゲームカタログ
平均クリア時間42.5時間
ストーリーを教えて貰うwiki
スタッフロール(クレジット)人数412人
各スコアは執筆時点のもの

2.購入価格やプレイ記録

発売前からパリィできるターン制バトルがフォーカスされていたので存在は知っていたが興味はなかった。しかし、発売されるとメタスコアは2025年最高得点、ユーザースコアは歴史上最高得点となりさすがに興味が沸いた。

PC買い替えでゲームパス1か月分を貰えたため、2025年6月にPCゲームパスにて無料プレイ。
30時間ほどでラスダン突入できる場面まで進み、次の日にクリアしようと起動したところプレイ不能となってしまい、ラスダンとエンディングは動画で視聴。
関連記事:PC版『Clair Obscur: Expedition 33』が起動してもすぐ落ちる、ロードできないなどの対処法

3.レビュー

新規性、良い点

●フランス感のある斬新な世界観、BGM、ストーリー

スタート直後から美麗グラフィックで花びらの舞うフランス感のある街が描かれ圧倒される。
冒険する舞台もエルフや魔法などありきたりなファンタジーではなく、オブジェクトが浮遊する本作独自の幻想的な世界観が描かれている。
BGMはわずかに『ニーアオートマタ』感はあるものの、これまで聞いたことのないような曲調の神曲だらけ。特に後半に聞けるロック調のボーカル曲は鳥肌もの。
ストーリーは大きく3章に分かれており、各章のラストでは既存のRPGを逆手に取った衝撃展開も描かれる。とはいえ、本作のストーリーは実際に動画視聴でも満足できたように、プレイせずとも体験できるので採点対象外。

●「ターン制アクション」という新ジャンル

本作をターン制コマンドRPGとする表現は的外れで本質はアクションである。
戦闘システムとしては『FF10』のCTBのように敵と味方の行動順が表示され、キャラごとのAPを消費してコマンド選択→QTEアクション、敵の攻撃をパリィできるとノーダメ&AP回復、コンボをすべてパリィできればカウンターというもの。敵のコンボはディレイもあり連続パリィできると『SEKIRO』のような爽快感がある。
そして、少なくともノーマル難易度においてはコマンド選択の重要性は低く、パリィさえできればどんな敵も倒せる調整がされている。要はアクション性が強い。
個人的にはすべてのターン制コマンドRPGは本作のシステムを採用してほしいくらい楽しかったものの、やはりキャラクターを自由に動かせるアクションRPGの方が好み。
とはいえ、このシステムを生み出した新規性は大きな加点項目となる。

●探索できるミニチュアワールドマップの再発明

『DQ11』、『聖剣3ToM』、『聖剣VoM』でもミニチュアワールドマップがあり、世界の広さを感じることができて大好きなのだがそれは乗り物に限られていた。表現力が上がってリアル頭身になった弊害。
本作では実際にミニチュアワールドマップを歩いて探索できる上に非常に広い。しかも、『FF7』~『FF9』のように進行に応じて探索範囲が広がるようなレベルデザインにもなっている。最終的に空も飛べる代わりにファストトラベルがないのは思い切った調整。最後にプレイ不能になったのでFTなしが不便に感じた可能性はある。
スクエニRPGで歩いて探索できるワールドマップがあった最後の作品は『FF零式』と記憶しており(SOシリーズなどは不明)、その良さを再確認できた。
ミニチュアワールドマップでもシンボルエンカとなっていて探索に集中できるのもいい点。
アクションRPGでどうするかという問題はありつつ、ミニチュアワールドマップは今後もっと採用すべきとまで思える。

歩き、航海、飛行で広い世界をワールドマップを探索できる

●防具と消耗品なしでも成長を実感できる高いカスタマイズ性

RPGでは当たり前の防具と消耗品が本作にはない。
まず、消耗品はセーブポイントで補充されるソウルライク形式。ダンジョンに潜る前に消耗品を買い溜めするという行為はたしかに無駄な気がするのと、エリクサー症候群のように使いどころが難しい消耗品など悩まずに使えるので歓迎したい仕様。
また、本作では防具の代わりにアクセサリのようなものを3つ装備できる形式。それぞれに防御力やアビリティが設定されていて、アビリティを習得したらガンガン付け替えていく。習得したアビリティはコストが許す限り無制限に装着できてさまざまなビルドが作れる。コスト内でいくつも装着できるのは『KH』シリーズに似ている。
『モンハン』『エルデン』で見た目が変わるように、現代のRPGは防具で見た目が変わらないのは不自然に思えるので納得感もあるいい仕様。
進行に応じて多数のアビリティを装着できるようになると成長の実感に繋がるのでもっと採用すべき。例えば『FF16』は最初から最後までアクセサリ3枠なのでビルド幅が狭く感じる理由の一つ。『FF7リバース』はマテリア穴が増えていくのでいい例。

ビルドの幅はかなり広いうえに成長を実感できる

●ちょうどいいボリューム感

いわゆる大作RPGはクリアするだけで60~100時間というものがあり、ゲームが溢れてる昨今はプレイする前から億劫になる。
本作はメインだけなら30時間程度で終わるのでこれくらいがちょうどよく感じる。サブクエやミニゲームなどのやり込み要素、引き継ぎ周回をやれば100時間以上は遊べそうな理想形。

合わないところ、悪い点

●パリィ偏重すぎるバトル

バトルはパリィできるか否かがほぼすべてであり個人的には楽しいが、戦略性に乏しくターン制コマンド好きな人が好むのか怪しい。仮にFFが本作の前に同じバトルシステムを採用してたら、それはそれで批判されてた気がする。

●用語集や人物図鑑やクエストログがない

『エルデンリング』でも減点対象でありソウルライクを参考にした悪い点。
まず、ダンジョン内でサブクエっぽいものが出てくるがクエストログがないので、どこで何をすればいいのか全く分からない。
また、本作は独自用語が多数出てくるうえに、登場人物の関係性も分かりづらくストーリーが非常に難しい。よく分からない人たちが意味不明な話をするので初見で理解するのは困難を極める
進行に応じて更新される用語集や人物図鑑があればそのあたりも理解しやすくなるはず。
ちなみに、本作は終盤に怒涛の伏線回収がありバランスも悪い。『FF10』で例えるなら何一つ分からない状態でザナルカンドに辿り着き、シンの正体、ユウナの覚悟、1000年前のザナルカンドの真実、ティーダの正体、シンの倒し方などが一気に明かされる感じ。情報の洪水で処理しきれない。

●ダンジョンマップがない

マップがないこと自体はプレイヤーによる能動的な発見を促すので即座に否定はしないが、本作はダンジョン内の分岐ルートが長く、進行方向が分からなくなる。マップをなくすならどこからでも見れるランドマークを配置するなど迷わないようなレベルデザインにすべき。

●街や村がない

最初の街は旅立ったあとは戻れず、その後は村が一つだけ。崩壊した世界なので仕方ない部分もあるが、世界を旅するRPGとしては多彩な文化の街や村を訪れたかった。

●魅力を感じにくいキャラデザ

人外キャラクターが仲間になるのは素晴らしい。
それ以外の人間キャラクターは人間性としては個性があるものの、いわゆるデザインとして無個性に感じた。魅力的なキャラクター作りはまだ日本に分があるとも言える。

●肩越しすぎる三人称視点

移動中の視点が肩越しであることは許容できるが、本作はオンリーアップのようなオブジェクトを登っていくミニゲームがある。そして肩越し視点のためまっすぐ進むのすら困難で思い通りに動かせない。
なのでセンターカメラMODを導入した。

●起動不能という致命的なバグ

詳細は別記事。MODがトリガだった可能性はあるものの、複数の報告があるので本作特有の何かがありそう。まだアプデが続いてるので現在は修正されている可能性はある。
関連記事:PC版『Clair Obscur: Expedition 33』が起動してもすぐ落ちる、ロードできないなどの対処法

4.個人スコア

90点/100(最大100点)

※点数は「Steamおすすめする70点」を基準にレビュー方針に沿って加減点した感覚的なもの。

RPGを再定義したとも言える革新性や本作だけの世界観が構築されつつ、快適性を損なう無視できない不満点があるのでまとめて10点減点して90点とした。進行不能の減点、ゲームパス対応の加点も含む。
すべてのターン制コマンドRPGは本作の仕様になってほしいほどバトルが楽しいので是非プレイしてほしい作品。
なお、「FFを超えた」という声をよく聞くが個人的にはアクションRPGの楽しさを超えれてない(昔のFF、DQやペルソナは超えてる)。仮にストーリーを採点するなら超えたと言えるかもしれないが、ゲームは能動媒体なのでストーリーの良し悪しよりもプレイヤーによって変化するか否かの方が重要。映画アニメ漫画などの受動媒体ならストーリーの良し悪しが採点基準になる。
-2025/6/30

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