『Forspoken』(フォースポークン)をクリアしました。
クリア後の世界を探索したくてウズウズしながら執筆してるくらい面白くはあるのですが、「こうしたらいいのに」という惜しい要素があまりにも多くもったいないゲームでもありました。

普段レビューのような記事は書かないのですが、もったいない要素がありすぎて是非とも開発者に見てもらいたいので今回は執筆します。
批判するだけなら誰でもできるので改善案も挙げていきます。
核心は避けますがネタバレには配慮できないのでご容赦ください。

本記事はSteam版をプレイした上で執筆しています。

1.総評

難易度ハードで道中少し寄り道やサブクエ消化やアーカイブを読みつつ24時間足らずでクリア。
難易度ハードのままクリア後の探索含めて50時間ほどプレイした上での総評です。もう少しプレイ予定かつDLCもプレイ予定。

私のゲームへの採点はおそらく特殊で、「同行して一緒に戦う仲間がいない」場合はどんな名作だろうが問答無用で-10点です。『Forspoken』はこれに該当してます。
逆に言えば仲間がいると+10点分楽しめるからスクエニ製ゲームが好きなんですね。
他にも「一人称視点」「奥行きのない横スク」「テンポの悪いターン制コマンドバトル」は合わないので基本的に減点対象です。

次に、ストーリーの良し悪しは点数に影響しません。
個人の好みに依るところが大きく、仮に点数をつけるなら意外性のないハッピーエンドの王道ストーリーなんかは減点しますし、例えば純アクションや格ゲーやレースのようなストーリーの薄いゲームは-10点になるためです。
しかも、今の時代ストーリーそのものは配信でも見れるのでゲームとしての点数にはなりえません。
とはいえ、順序が変わったり分岐したりなどプレイヤーによって体験が変わるストーリーであれば加点対象、見てるだけのカットシーンが多い所謂ムービーゲーなどは減点対象です。

要は、「動かしたり戦闘が楽しい」だとか「自由度の高さ」だとか「成長要素」だとかゲーム媒体だからこその体験を重視しています。

以上を踏まえて、75点くらい。クリア後も含めての点数なのでクリアまでで判定すると70点くらいです。

魔法パルクールによる移動と戦闘は他のOW作品と比較してもトップクラスに気持ちよくアクションゲームとして楽しいのですが、探索や成長などのRPG要素が中途半端に噛み合っておらず長所を活かせてません。
また、他のOW作品と比較すると低予算感があり色んな面で劣っています。とはいえ、良ゲーの部類です。
詳しくは後述していきます。

ちなみにPS4世代以降でプレイしたスクエニRPGでランク付けすると以下の感じ。

FF15=聖剣3ToM=FFオリジン>ニーアオートマタ=FF零式HD=Outriders>Forspoken=FF7R=KH3=SO6>ニーアレプリカント1.22>DQ11S>バビロンズフォール

本作は『FF15』の開発チームによる作品ではありますが、「拠点(街)が一つ」「荒廃した世界」「近接とシューター要素が混在」「回避と爽快感重視の戦闘」「移動アクションの多彩さ」「装備種類が少ない」「敵種が少ない」「ストーリーボリューム感」「単調な時限サブクエ」など実は『ニーアオートマタ』に似ている作品で、スタッフロールを見る限りは予算規模も近い気がしてます。

2.良いところ

挙げ始めたらきりがないので本作独自もしくは他ゲームと比較して良かった要素に絞ります。
良い点に上げてても細かい部分では不満が残るものもあります。

●魔法パルクール
発動するだけで縦横無人に駆け回れて最高に気持ちいいです。
新たにスキルを解放すると「パルクール中にタイミングよくボタンを押す」など移動そのものにゲーム性も付与されて走るだけでも楽しい作りになってます。

●戦闘
パルクールにより高速回避しながら多彩かつド派手な魔法で攻撃できる爽快感溢れる仕上がりです。
戦闘中に全ての魔法をリアルタイムに切り替えて使えるのも素晴らしい。
最近は『モンハン』や『ソウルライク』のようなシビアでテクニカルな戦闘が好まれがちですがスタイリッシュと爽快感に振り切った戦闘も答えの一つ。
ただし、難易度は低めで魔法の解禁は遅いです。

●モーションの繋がり
パルクールは地形やタイミングに応じて複雑な動きをしてるにもかかわらず全てのモーションが破綻なく繋がっていて爽快感の向上に寄与してます。

●エフェクト
誇張抜きで世界一美しいエフェクトです。誇ってください。

●HUD
すっきりしている上に必要のないときは自動的にHUDが全くない状態になるのはよく出来てます。
設定でオンオフできるミニマップがあるとなお良かったです。

●魔法強化クエスト
全ての魔法に条件達成で強化できるクエストが用意されていて色んな魔法を使うモチベになりました。
「敵をパルクールで飛び越えて背面攻撃」など魔法強化クエストのおかげで知った戦い方もあります。

●装備強化
「全ての装備を最強にできる」のは良いやり込み要素だと思います。
ただし、序盤から強化できすぎて新しい装備よりも遥かに強くできてしまうのはNGです。

●ストーリーが短い
今のタイパ時代においてストーリーの長いゲームは疲れるので、メインストーリーが短いのは本心でありがたいです。ただし、シナリオ配分は悪いです。

●3Dマップ機能
全体マップを3D模型かつ回転して見れるのは次世代のマップ機能とも呼べるもので、今後全てのゲームで採用して欲しいくらい。
ただし、切り替えると重いのでもう少し調整は必要。

●ロードが早い
世界初のDirect Storage対応のおかげなのか、非対応のWin10でもロードが早いです。
『FF15』もアプデで早くなりませんか?

●オブジェクトのポップアップがほぼない
フィールド上の木や草が近づいたら急に生えてくるようなポップアップがないもしくはほぼ気付けません。
オブジェクトのポップアップは没入感を削ぐデメリットしかない要素なので、UE5のNanite機能のように次世代はポップアップなしが標準となってほしいですね。
ただし、街中のNPCだけはかなりポップアップするので逆に目立ちます。

●難易度を上げるメリットがある
単に難しくなるだけのゲームも多く、それはただの縛りプレイでしかないので個人的には嫌いです。
本作のように戦闘スコアが上がりやすいなどわずかでもメリットが用意されてると難易度を上げる意欲が沸きます。

●アクセシビリティの豊富さ
かなり細かい部分まで好みに設定できます。
ただし、難易度に関わるものも細かく設定できるのはNGです。

●バグがない
バグがあって当たり前と言われるOW作品なのに全くと言っていいほどバグがありません。
もちろん他のOW作品と比較すると複雑に絡み合う要素が少ないというのもありますが素直に評価すべき点です。

3.アプデで改善して欲しい要素

根本を変えるのが無理なのは分かるので少ないリソースで実現可能な範囲で追加・修正できそうな要素に絞ります。

●街中や屋内での強制歩行はやめる
あらゆるエリアでパルクールを使えるようにしてください。街中や宿など使えないエリアはストレスが溜まるだけなので必須級です。
というか街の広さ的に元々はパルクール使える仕様だったのでは?
街の城壁や屋根の上は見えない壁で囲まれててもいいです。
ついでに、NPCは無反応でもいいので可能なら街中で魔法も使えるようにしてください。
⇒パルクールではないものの強制歩行エリアでのダッシュが可能になりました

●自魔法での怯みはなくす
いくつかの魔法で自身が怯んでしまうのは爽快感を大きく削いでいるのでこれも必須級です。
爽快感に特化するためにも自魔法での怯みはいりません。
⇒オプションで「怯みなし」が選べるようになりました

●ロックオンの改善
ロックオンが勝手に外れるのは直しましょう。
また、『FFオリジン』のようにロックオンした敵を倒したら自動的に近くの敵をロックオンしてください。
さらに『FF15』は画面内に敵がいなくてもボタンを押すと近くの敵をロックオンできてたはず。
⇒ロックオン改善されました

●フィニッシュブローアイコンを分かりやすく
乱戦時はアイコンが見えにくいので例えば赤くするなど分かりやすくしてください。
また、アイコンが出てるのにフィニッシュブローが使えないことが結構あってストレスなのでダウン状態が終わったらすぐ消してください。

●被弾することが前提の魔法強化クエストの見直し
回避して攻撃するのが楽しい戦闘なのに敢えて攻撃を受ける体験は面白くないです。

●一部の敵をさらに大きくする
変異種や強めの雑魚などは遠くからでも目立つくらい大きくした方がいいと思います。
『FF15』のカトブレパスのようなイメージで景観にもインパクトが出ますし、探索のランドマーク代わりにもなります。

●エンドコンテンツの実装
探索して強化する意味を持たせるためにも倒すべき強敵は無限に欲しいです。
『FF15』のモブハントはいいサブクエにもなったのでは?
強敵はステータスを上げて色と大きさが異なるくらいでも構いません。

●デフォルトでダッシュさせる
スティックの倒し具合で歩き→小走り、押し込みでダッシュとなっていますが小走り必要ですか?
しかも小さな段差は小走りだと超えてくれないので、スティック倒したらダッシュでいいです。
もしくは小走りから自動的にダッシュに移行する設定を用意してください。

●デフォルトで素材の自動取得オンにする
デフォルトが手動取得の理由はなんですか?
世の中にはオプション設定を全く見ないプレイヤーも結構いて素材拾いがめんどくさいと思わせる要素になっています。

●デフォルトでL3押し込みでパルクール停止オンにする
狭い空間などでパルクールが荒ぶるのは仕方ないとして止める方法をオプションに用意してるならチュートリアルにいれましょう。

●難易度の見直し
ハードだと雑魚戦で適当に戦って何度か死にましたが、メインシナリオはラスボス以外苦戦せずクリアできました。
おそらくノーマルだと雑魚全無視&無強化でも楽にクリアできてしまうのでノーマルをハード並みに置き換えた方がいいです。
スタイリッシュに戦うのが気持ちいいので難しくしすぎる必要はありませんが現状はハードでもほぼヌルゲーです。(封印迷宮のボス3体同時はスタミナ管理が重要となるいい難易度だった)
ちょっとプレイヤーのスキルを低く見積もり過ぎですし、多少難しいくらいが探索して強化する意味が出てきます。どうしてもクリアできない人のために誰でもクリア可能なイージーがあればいいのです。
例えば『ブレワイ』は難易度選択もレベル制もなく戦闘は結構シビアだと聞くので難易度面でも探索の動機付けができているのでしょう。

●難易度ごとにアクセシビリティ設定は縛る
「スタミナ回復速度」「自動回避」など難易度に関わるものはイージーのみ設定できるとかクリア後解禁などにすべきです。『ニーアオートマタ』の自動戦闘はイージーのみです。
現状は単なる公式チートでしかなく、強化する意味を奪うだけのものになってます。
私自身ソロゲーでチートプレイしますがそれはクリア後のことで、死ぬことのないチートを使って初見プレイしても楽しくないです。
例外として、リマスター作品は過去に一度クリアした人もプレイするからこそ公式チートはあってもいいです。
というかこれらのアクセシビリティに該当する能力を持った装備品を報酬として用意してあれば積極的に探索したくなります。

公式チートとなっている難易度設定。許容できるのは「照準アシスト」と「切り替え中の時間」くらい。

●レベルアップ時に現在レベルも表示してステータス強化
レベルアップしてもマナが増えたことが分かるだけで現在レベルすら表示されず強くなった感がありません。途中とクリア後の2回しか現在レベルを認識しませんでした。
また、レベル上がってもフィールドに落ちてるマナが貰えるだけだと、雑魚を倒したり戦闘スコアを上げる意味がないのでレベルで能力値も上げた方がいいです。
例えばマナに加えて1レベル毎にライフ、魔力、防御力、回復力のいずれかが1上がる、10レベル毎にスタミナが上がるなどにすれば、「探索すると数レベル分の強化に繋がる」と認識できて意欲が沸きます。
もし現状でもステータス上昇してるのであればレベルアップ時に表示してください。

ギアメニュー左上の小さい数字(赤枠)がレベル。ここでしか確認できない。

●敵のレベルを表示する
今は避けた方がいい敵や楽に倒せる敵の目安になるので内部に設定されてるなら敵のレベルを表示してください。序盤に敵わないような強敵がいるのもOWの魅力の一つです。
できればフィールド上の各アクティビティにもレベルや難易度が表示されてると挑みやすくなります。
『FF15』ではできていたことですが、多少は探索の自由度が犠牲にはなるかもしれません。代わりに低レベルで高レベルに挑むというやり込みが生まれます。

●骨董屋をメインシナリオ道中に分かりやすく配置する
古い硬貨を集める意味ができるので、全員が必ず通る場所に骨董屋を配置し直しましょう。
二人目の魔女への道中がベストな気がしますが、一人目の魔女への道中でもいいです。

骨董屋の商品。攻略サイトを見ないとクリアまでに見つける可能性は低い。

●素材名称と用途
新規IPとはいえ名称も用途も分かりにくすぎです。
粒→結晶→奇結晶はまだいいとして、他の草と石は名称からレア度が判別しにくく何に使えるかもパッと分からないので拾ったときの嬉しさがほぼないです。
例えば岩ススキ→紫の魔法、水辺スミレ→青の魔法など強化要素と名称が対応してれば分かりやすくなりますし強化の制限にもなったはず。

素材となる草と石。石の方はどんどん大きくなっているので一応レア度は分かる。

●素材の草の色
草はどれも緑ではなくフィールド上で一目で違いが分かるような色の変化を付けた方がいいです。

●猫のオトモ化
せっかく集めた猫は宿にいるだけではなくオトモとして付いてくるようにできませんか?
戦闘中は消えてもいいですし、複雑に動くAIは不要で適当にワープして気付いたら近くにいるだけでもいいです。
⇒実装されました

●NG+(強くてニューゲーム)
最初から全属性使える状態でのNG+が欲しいです。
各種所持品、魔法の解放や強化、マップ埋め状況など考慮すべきことは多いかもしれませんが、個人的には全属性が使えるなら他の要素は全リセットでもいいです。

●オンライン要素
緩くてもいいのでオンライン要素がある方が盛り上がる上に長くプレイされます。
「記憶の碑」のコンテンツはオンラインランキング向きですし、競い合うための強化や探索の動機付けにもなります。

●終盤の展開
終盤は全魔法使える状態で探索できる展開にした方がいいです。
少ないリソースで済みそうな改善案を4.3項に記載してます。

4.アプデで改善が難しい要素

ここからは厳しいことも書きますが、世間的にも同意を得られる項目だと思います。
ゲームを作ったことはないので、予算や納期、関係各所との調整や縛りなど様々な事情によりどうしようもなかった項目もあると思いますが、それらは無視して改善案を上げていきます。

4.1 魔法パルクールを使えない場面が多すぎる

24時間足らずでクリアのうち体感で半分くらいはパルクールが使えないイベントやエリアでした。
実際はもっと短いとは思いますが、「魔法パルクールは独自の魅力になる」と早い段階で目標を定めたのならもっとガンガン使わせてください。
街中での制限や強制歩きイベントなどは以ての外ですし、猫集めのアクティビティはパルクールで追いかけるようなゲーム性の方が楽しめるはず。
クリア後はイベントも街中に戻ることもほぼなく快適なのでこの不満はほぼなくなりました。

4.2 報酬バランスが悪すぎる

本作において一番の報酬は「新属性(新パルクール)」、二番に「新魔法」、三番に「スタミナ」です。
一人目の魔女を倒した時点でこの三つがメインシナリオ報酬であることは誰でも理解できてその報酬が豪華すぎるので、以降は「全属性解放を目指して優先的にストーリーを進めたくなる作り」になっています。(新魔法はマナや探索報酬でも解放できる)
そもそも「ストーリーの続きを見れる」こと自体が報酬なので、ストーリーに自信があるなら報酬は経験値くらいで十分ですし、各地の封印迷宮クリアにより順不同で新属性や新魔法解放などの方がOWを活かせます。

また、難易度ハードでもヌルゲーの部類なので、探索して強化する必要性が薄いです。(一応隠しボスはちゃんと強い)
さらに、装備強化の制限がないに等しく、新たに入手する装備よりも強くできるので新装備よりもストーリーを優先してしまいます。
3項に書いたような難易度の見直しとレベルアップでステータス強化、装備強化は「後半入手できるレア素材で限界突破」のようなシステムにすべきでした。

4.3 シナリオ配分が悪く魔法解禁が遅すぎる

まず、一人目の魔女を倒しに行くのがOW開始とするとここまで3,4時間かかって長すぎます。
開始直後にドラゴン戦もしくは塔に向かうチュートリアルエリア、NYパートはたまに会話やイベントによる回想くらいで十分です。

次に、一人目の魔女を倒すまでの道中が他の魔女よりも長く設定されていて倒したらようやく新属性の解放なのでプレイヤーも見てる側も単調に感じます。
OW開始直後くらいに新属性が使えた方がいいです。4.2項に書いたような封印迷宮で解放してほしい。

しかも一人目討伐が序盤ならともかく既に中盤に入っていて、二人目三人目を倒してようやく全属性使えると思ったら残りはラストバトル。しかも三人目は途中を飛ばしてワープまでしてくれます。
シナリオで訪れるエリアは全体の1/3程度しかなくあまりにも飛ばしすぎなので、全属性使える状態で探索させる猶予をください。
ラストバトル前はスキャンが封じられるため実質探索もできません。

クリア時点の探索状況。

現行シナリオを尊重して改善するなら、チャプター11の魔法を再習得したあとに二択を選ぶ展開の前に魔法再習得時に倒したボスの強化版を未踏の地に配置して全属性使える状態で順不同で倒しに行く展開にする。
そして全ボス撃破後にラスボスに挑む展開であれば、ボリューム感としても悪くないですし、「アーシアを救う」と決意した主人公をしばらく操作もできます。
過去FFの飛空艇入手後や『FF15』のロイヤル版王都と同じようなイメージで、全て解放された状態で探索したりボスを倒してラストバトルの方が盛り上がります。
カフについてはラストバトル前でもバリアは有効だったはずなので、全属性再習得したらスキャンもできておかしくないです。
さらに、終盤会話がない状態で進行させることで、クリア後にカフが戻ってきたときの嬉しさも増えるはず。

4.4 戦闘中のリング選択や長押し攻撃はテンポが悪い

現状でも戦闘は気持ちいいですし全魔法をリアルタイムに切り替えて使えるのはよく出来ていますが、攻撃と支援でリングが2種類もあるとテンポが悪くなります。
私は「支援魔法を自動切替」してましたが難易度調整ではなくテンポ良く戦うためです。

また、長押し主体の攻撃はボタン操作と動きとのラグがあるのでアクションには不向きです。
個人的な理想としては、上下左右で属性切替、□は通常攻撃、△と〇は2種類の攻撃魔法、□□△/□□〇などのコンボでレベル3魔法が出るようにする。浮かせや空中コンボもできればほしい。
L2/R2は支援魔法のショートカットボタンにするとL2/R2+□/△/〇/×で8種類の支援魔法がテンポを損なうことなく発動可能です。
空いたL1/R1は魔法パルクールとスキャンかワイヤーフックにすれば移動中やカメラを動かしながらの探索も容易になります。

4.5 オープンワールドが活かせてない

ファミ通インタビューによると初期から「魔法主体のオープンワールドを作る」ということは決まってたとのこと。
地続きの広いフィールドをパルクールで駆け回るのは楽しいのでこの面では成功できてます。
しかし、OWと濃密なシナリオの相性は悪いとよく言われており、本作も例に漏れずクリアまではワイドリニアな構成となっていて他のエリアに無理やり行くと戻されるらしい(未確認)です。

OWを活かすなら、特定パルクールがないと行けないエリアを設けつつ三人の魔女は順不同で自由に倒せるようにして、倒すたびに拠点に戻ったらイベント進行のような作りにすべきでした。
例えば一人目の魔女への道中にも広い湖も配置して、新パルクールだけは討伐報酬にしておくと、メトロイドヴァニア的な「これであのエリアが探索できる」みたいな要素も生まれます。
欲を言えば『ブレワイ』『原神』のような属性を活用したギミックもあった方がいいですが、これは予算が跳ね上がりそうな気もします。

4.6 ロケーションの変化が少なくランドマークもない

せっかくのオープンワールドなのに、基本的に荒野と草原しかなくエリア毎に色が変わるくらいの変化しかありません。ロケーション数は『ニーアオートマタ』以下なので広さの方を優先したというところでしょうか。
とはいえ、定番のロケーションとして雪原、火山、樹海、海辺、砂漠などのうちいくつかは欲しいところ。浮島があるのは良かったので、空中城などもあると独自性に繋がります。

また、魔女の城と城下町の景観はよく出来てるので、遠方からでも見えるような配置にすべきでした。
街を一つにするならもう少し作り込みが欲しいですし、街自体をランドマークとしてどこからでも見えるようにした方が遠くまで探索してきた感も出ます。
『FF15』では最初から遠方に火山が見えて実際に行くことができましたし、スマホでも動作する『原神』『幻塔』ですら遠方から見えるランドマークが存在します。
配置する建物が予算の都合でコピペになるなら、少し色を変えるだけでもランドマークとして機能すると思います。

OW開始後に最初に見る景色。気になるランドマークがなく霧=ブレイクストームも景観の邪魔になっている。
これはいい例で右側に特徴的な水の城が見える。ただし、クリア優先だとここからの景色を見る可能性は低い。

4.7 時限サブクエとサブクエ仕様

サブクエとはやってもやらなくてもいいものです。
メインに匹敵する濃密なサブクエがあると評価は高くなりがちですが、個人的には「それほどよく出来てるならメインに入れてほしい」と思うのでサブクエは単調でも構いません。
しかし、時限サブクエは「今やるべきという強制感」が生まれるためやってはいけません。
『ニーアオートマタ』も時限サブクエばかりでストレスでした。代わりに、チャプターセレクトでサブクエを回収することができたので、チャプターセレクトが無理なら時限サブクエは辞めましょう。

しかも、本作のサブクエはほとんどがパルクールの使えない街で発生するので消化するのがかなりストレスです。これはパルクールを使えるようにするだけで多少は改善されます。
あとは、ほとんどのサブクエが街中で完結するので「写真撮影サブクエ」のようにOWと連動するサブクエがあるとより楽しめたはず。『FF15』のモブハントのように変異種を倒すと住民から報酬が貰えるなどでもいいです。
さらに、骨董屋がいるのだから街の外でサブクエが発生しても良かったと思います。

4.8 要求スペックにグラフィックが見合ってない

RTX2080S(PS5相当)、フルHD、標準設定、DLSSパフォーマンスでもオープンワールドでは40~50fps。街でのイベントなどは20fps近くまで落ちることもありました。
PS5世代として確かに綺麗ではありますが、より低いスペックで動作する綺麗なグラフィックのゲームは存在します。
解析によると『FF15』の8倍の頂点数となっているようでこれが原因でしょうか。

例えば『FF15』の料理はメインで映すためリソースを割くべきものですが、画面端にあるような小物にリソースを割くのはまさに「完璧な陰影をつけた1セント硬貨」です。
旧『FF14』でも似たようなことがあったはずで、小物にリソースを割くのではなくその分フィールドのオブジェクトを増やしたり軽く動作するように調整して欲しかったです。

4.9 ストーリーとキャラクターと世界観

私には予想できなかった意外性のある展開が用意されてたのでストーリーそのものは良いと思います。
ラスボスを予想できた人はおそらく少ないでしょう。こちらはいい伏線もありました。
但し、プロモーションで「4人の魔女のうち3人しか見せない」、OPで「主人公は捨て子」の情報は与えすぎで、もはや伏線ではなく答えになってます。
「捨て子」の情報は伏せておいて、いきなり出生の秘密を教えられた方が衝撃は大きくなったはず。
もしくは、情報を与えておきながらミスリードさせるのもアリですが、現行シナリオでミスリードさせるのは難しいですね。

キャラクターについては、主人公があまりにも不幸な生い立ちで感情移入しにくかったですが、ゲームに限らず主人公は大抵不幸な目に合うのでこれは判断が難しいところです。
しかし、境遇を考慮しても性格に難ありで、「アーシアを救う」はともかく「魔女を倒す」決意を終盤までしないため戦うのが楽しいプレイヤーとの間で齟齬が生じてました。
最初の事件が起きたあとは「魔女を倒す」決意をぶれさせる必要はないです。
次に、カフとの掛け合いは「多め」にしてるくらい好きですが、どちらも気が強いので一方は違う性格にすべきです。英語版はかなりきついやり取りもあるようでそれが不評の要因になってるとも聞きます。
『ニーアオートマタ』ではクールな2Bと陽気な9Sのように差別化されてたのはいい例ですね。
また、魔女やNPCの外見が全てモブに見えてしまいました。魔女の服装は独特ではあるものの地味に感じてしまいもっとファンタジー感溢れる外見の方が好みです。

世界観については、「魔法主体のOW」自体は魅力ではあるものの「崩壊した世界で街が一つしかない」と事前に発信されていて、公開されるトレーラーもどこかで見たような荒野と草原が多かったため、プレイ意欲の沸く世界観とは言い難いです。

ストーリー・キャラクター・世界観の好みは人それぞれで正解もないですが、少なくとも私にはどれも魅力に欠けるものでした。
とはいえ、ゲームに限らず魅力的なストーリー・キャラクター・世界観を誰でも簡単に作れるなら世の中には名作しか存在しないはずなので、対策のしようがないことは理解します。

4.10 『FF15』の自動撮影や料理の再利用

自動撮影は未だに他社に実装できない神機能なのに再利用しないのはもったいないです。
フォトモードを起動して自分で撮るのは手間もかかりますし、自動撮影により「絶対に自分では撮ることのない奇跡のようなタイミングとアングルの写真」がたまに見れるのは『FF15』にしかない素晴らしい体験でした。
世界観的にはスマホと魔法があるのだから「カフが撮った」もしくは「念写した」的な設定でいいですし、内部的には『FF15戦友』の誰もいないのにいつの間にか撮ってくれるAIで十分です。写真用のセリフなどもなくて構いません。
自動撮影があれば「写真撮影のサブクエ報酬」であるカメラエフェクトも欲しくなります。

次に、大量の素材を配置できるOWと料理の相性は抜群です。
キャンプできて魔法も使えるなら『FF15』の流用でも構わないので料理を実装してほしかったです。
現在実装されている「サイコロを振ってランダムで能力が上がるパーサ」は面白味が全くありません。
『FF15』は釣りもよく出来てましたが、これは世界観的にもリソース的にも実装が難しいのは理解できます。

そして、個人的に一番残念なのはやはり「一緒に戦う仲間がいない」ことです。常に仲間がいるオープンワールドARPGも未だに『FF15』くらいしかないと思います。次作は『FF15』のようなAIで動く仲間を期待してます。

ゲーム業界は「リソースの流用は悪」のような風潮が見受けられますが、昨今の開発規模の肥大化を鑑みるともっと流用すべきだと思います。
「ルミナスといえば自動撮影」「ルミナスといえば料理」のようなスタジオの代名詞になるような強みを伸ばしてほしいです。


以上です。
結構色んなことを書いてますが、『Forsoken』が特別ではなく、どんな名作ゲームだろうが不満は必ずあるので同じくらい書けます。
街中パルクールと自魔法の怯みは必須級で直してほしいのと、移動と戦闘は面白く仕上がっていて、それをさらに伸ばせる要素があるのに噛み合ってなかったので応援のために執筆させていただきました。
-2023/2/23

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