『FF16』(FFXVI、FINAL FANTASY XVI、ファイナルファンタジー16)の感想&レビューです。
レビュー方針は以下の通り。
●ジャンルを問わず一緒に戦う仲間がいないゲームは問答無用で強制的に-10点
⇒個人的な絶対指標であり一人旅だったりレースやパズルや音ゲージャンルなども最大90点となる
●動かす楽しさ、自由度、戦闘システム、成長要素やカスタマイズ性などゲーム媒体ならではの体験を重視
●プレイせずとも動画で見れたり存在しない場合もあるためストーリーの良し悪しは採点対象外(ゲーム媒体という特性を活かしたストーリーならば好みで加点することもある)
●好きなジャンルであるアクションRPG(ライク)は加点
●動かす楽しさが損なわれるので奥行きのない横スクや3Dでもジャンプできない場合は減点
●順序や分岐などプレイヤーによって体験が変わるストーリーであれば加点
●イベント(カットシーン)や戦闘やロードが長い多いなどテンポが悪いと減点
●サブクエ、エンドコンテンツ、ミニゲーム、周回要素などでボリュームがあれば加点(水増しや作業感の強いものはNG)
●苦手な一人称視点は減点(ホラーなら許容)
●世界観、キャラクター、衣装チェンジ、モーション、フィールド、グラフィック、アートデザイン、イベント演出、BGM、SE、エフェクト、物理演算、オブジェクト破壊、ボイス対応、オンライン要素、販売価格などは好みで加点
●装備破壊、所持数や重量制限、空腹度、ダッシュ時スタミナ消費、取り返しのつかない要素などめんどくさいだけの仕様は基本的に減点(ダンジョン攻略や戦闘中のみの難易度の一環になっていれば許容)
●操作性、UI、キーコンフィグなどのアクセシビリティ、チュートリアル、解像度、フレームレート、翻訳品質などはプレイした時期の標準未満であれば減点
⇒総合的な「ユーザビリティ」=「遊びやすさ」であり必然的に古いゲームや小規模タイトルは点数が下がる
●新たな体験に繋がるこれまでにない新規性や革新性や独自性があれば加点
●遊びの幅が拡張されるMODやチートがあれば好みで加点
●各項目の加減点に上限はない
⇒ある項目が突出して良かったり悪かったりすればそれに依存した点数となる
1.概要
前作から約7年ぶりの『FF』シリーズ本編。『FF14』の吉田P、高井Dが担当。PS5版から1年3か月遅れでPC版が発売。
原点回帰とも言える中世ダークファンタジーな世界観、公式曰く「シリーズ初の本格アクションRPG」というスタイリッシュな戦闘システムとド派手な召喚獣バトル、広大なフィールドと繰り返し攻略可能なダンジョン、壮大なBGMなどが特徴。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
発売日 | 2023/6/22 | PS5版 |
ハード | PC、PS5 | |
外部ストア | Green Man Gaming | 基本的にSteamより安い |
メタスコア | 87 | PS5版 |
ユーザースコア | 8.4 | |
オープンスコア | 88 | |
モビースコア | 8.5 | |
Steamレビュー | 78%やや好評 | |
Amaonレビュー | 4.3 | PS5版 |
ゲームカタログ | 良作 | |
平均クリア時間 | 58時間 | |
ストーリーを教えて貰うwiki | なし |
2.購入価格やプレイ記録
外部ストアにてSteamコンプリート版9900円を予約18%オフ8118円で購入した。コンプリート版にはエキスパンションパス=DLC2つ3080円が含まれる。
アクションフォーカス(オートアクセ未使用)でストーリー進行やサブクエ状況に応じて変わる全村人セリフを聞いたりモブハントやサブクエを5割ほど消化して約60時間かけてクリア。その後、DLC2つとサブクエモブハントなどのやり込み要素を全消化して約100時間プレイした。
「本来の難易度」とされている2周目FFモードもプレイ予定。
シリーズ作品のプレイ履歴としては2,3,11を除くナンバリングをクリア済み。14は新生のみ。
外伝含むアクションRPGのFFとしては『FF15』『FF7R』『FFオリジン』『CCFF7』『FF零式HD』『PSP版ディシディア2作』をクリア済み。
現在のレビュー方針に従うと『原作FF7(MOD込み)』『FF15(MOD込み)』『FFオリジン(DLC込み)』は90点台神ゲー>その他>『FF10』『FF13』『FF7R』が70点程度という感じで物理的一本道(一方通行)だと評価は大きく下がる。実際FFシリーズはほぼ周回してるが後者の3タイトルは1周しかプレイしていない。
ついでに、本作のバトルディレクターは元カプコンで『DMC』を作っていたとのことで、PC版が出るまでに予習も兼ねて『DMC5』もシリーズ初見でクリア済み。こちらも一本道であることと個人的にアクションが合わずに70点くらい。
3.レビュー
本作の完成度は高いものの不満点を複数挙げる構成となる。書きながらも点数を決めかねているが不満点が多いからとそのまま減点要素になるわけでもないので悪しからず。
最高峰の壮大なBGMと本作でしか体験できない大迫力の召喚獣バトル
体験版からも断片を感じていたBGMが壮大で素晴らしい。
ただの雑魚戦のBGMですら他作品ならラスボス戦BGMと錯覚するほどの出来栄えで、ダンジョンやボス戦や召喚獣バトルの曲はどれも壮大で盛り上がる楽曲となっており、新たなBGMを聞けることが大きなモチベーションになっていた。
いくつものアワードでBGM部門のGOTYをいくつも受賞したのも納得で、BGM全体として『FF』シリーズのみならずプレイしてきた全ゲーム中でも最高峰と言える。私の好みドストライク。
開発側もそれを理解してかゲーム中の各ショップで楽曲が販売されており、購入した楽曲は拠点のBGMとして自由に聞くこともできる。一度設定すれば出入りしてもその楽曲が流れ続けるのも評価点。
楽曲の販売額が高めに設定されているので楽曲の収集自体もやり込み要素となっている。
なお、昨今のゲーム全般に言えるが昔と比べて1作の収録楽曲が増えたことでショップ販売のタイトルから楽曲を結びつけるのが困難になっている。例えば一時停止やメニュー画面を開くと流れている楽曲のタイトルが分かるような仕組みを導入してほしい。
また、本作の売りとなっている召喚獣バトル(召喚獣合戦)はどれも『FF』だからこそ実現できたド迫力な演出を堪能できる。召喚獣が少ないためストーリー全体に対しての回数は少ないが上述したBGMとの相乗効果もあり、まさに「動かせる怪獣映画」と言える出来。
全ての召喚獣バトルが毎回アクションやシチュエーションの異なる専用バトルという贅沢な作りであり、これを体験できただけでもプレイした価値がある。
とはいえ、バトルそのものは人型でのアクションと比べてやれることが少なく敵は固いので「戦闘」という観点では単調になりがちなのは否めない。演出とBGMを楽しむものと割り切れなければイマイチに感じる可能性もある。コンセプトとしては『FF15』の召喚獣戦に近いかもしれない。
その他、本作独自のアクティブタイムロアが非常に便利。
カットシーン中に該当ボタン長押しするだけで、その場面に関連したキーワードのみを見ることができる。
また、拠点にいるキャラからは関連するキーワードを次々に閲覧できたり、時系列ごとの世界情勢と人物相関図、さらには人物ごとの内なる声まで閲覧できる。
これまでのストーリーの流れをおさらいできるだけでなく、キャラの関係性や心情をより深く理解することができる。
他のRPGにも欲しいほどの機能だが、作り込む労力に対して恩恵を受ける人は少なそうなのでコスパは悪い気がする。『FF15』の自動撮影の方が恩恵を受ける人は多そうなので個人的にはコストをかけるなら自動撮影を標準実装してほしい。
テンポの悪すぎるストーリー&サブクエ
ストーリーの良し悪しは採点対象外だが、個人的には『FFT』のような国家間の重厚な人間ドラマと最終版に明かされる「世界の成り立ち」が『ゼノギアス』に匹敵するほど深く練られており、クリア後に考察が捗るよく出来たシナリオであった。
しかし、ストーリーのテンポが悪すぎる。体験版は導入だから仕方ないもののその後も体感10分くらい続くカットシーンが何度もあった。
召喚獣バトルなど迫力があったり動きのあるシーンであれば長くても見てられるが、ただの会話シーンは脚本を精査してもっとセリフを少なくすべき。それでも、カットシーンは重要なセリフであったり各キャラそれぞれ動きや表情が作り込まれてるのでまだ許せる。
問題はカットシーンではない文字送りできる会話イベントで、基本的にクライブとNPCとの一対一で動きのない会話が2,3分続いたりする。さすがにこれは長すぎでテンポの悪さは減点要素。
また、メインストーリーの中に「ただのおつかい」があるのも減点。船の部品集めをメインに入れるくらいなら仲間とのサブクエをメインに入れた方がいい。
100歩譲ってメインクエで「何かを取ってくるおつかい」をやらせるなら目的地を「初めて訪れるロケーション」に設定してほしい。おつかいの定義は様々だが「ロケーションの使い回し」はおつかい感が強くなる。
サブクエはさらにテンポが悪い。
本作のサブクエは「おつかい」ではあるのだが進行に応じて全村人のセリフが変わったり、消化すると村一つが滅んだり復興したりとダイナミックに世界観に関わる濃いものとなっておりそれ自体はよく出来ている。
しかし、サブクエの基本的な流れとして受注会話→誰かと会話×n→目的地でバトル→誰かと会話×n→完了会話となっており、それぞれの会話が1~3分ほどかかる。一つのサブクエで見てるだけの時間が15分以上あるのはあまりにもテンポが悪すぎる。一度の会話時間はせめて1分以内に納めてほしい。
直前にプレイした『聖剣VoM』のサブクエはセリフ量が調整されているイメージで受注も報告も2,30秒で済むので非常に快適だった。しかし、世界観の補完として薄いサブクエであることは否めず正解は難しいところ。(個人的にはサブクエは薄くあるべきというスタンス)
サブクエについては他にも、NPCを掘り下げるものがほとんどで、仲間を掘り下げるサブクエが少ないのが気になった。『聖剣VoM』も仲間を掘り下げるサブクエは少なかったが、常に一緒に冒険できるためメインで仲間がしっかりと掘り下げられている。『FF15』ではサブクエ自体は薄くとも全てに主役4人の会話が用意されており関係性の深掘りに繋がっていた。
『FF16』の仲間は基本的にゲスト参加であり、仲間との会話や掘り下げが不十分に感じたのでそういうサブクエを多くする方が良かったのでは?(特にトルガル、シド、ジル、ジョシュアなどのメイン級)
とはいえ、「サブクエとはやってもやらなくてもいいものであり全プレイヤーが消化するものでもない」ので本来はメインでやるべき内容である。
加点はできないものの、本作ほど濃いサブクエならプレイヤーごとに体験の変わるストーリーと言えるかもしれない。
綺麗なのに物足りないグラフィックとフィールド
本作のグラフィッククオリティそのものはPS5世代のタイトルならではの綺麗さでありキャラクターや質感などは『FF15』を超えている。特に召喚獣のカットシーンは目を見張るほどの迫力であった。
代わりに非常に重く、私のRTX2080SUPER環境では中設定フルHDでも60fpsどころか街では30fps以下まで落ちることもあった。とはいえ、『FORSPOKEN』『ワイルドハーツ』『モンハンワイルズOBT』など他のPS5世代タイトルも重かったのでこれはPCスペックのせいと諦めるしかない。
しかし、いわゆる全体的なアートデザイン(絵作り)としては「綺麗なのに美しくない」。
まず、中世ダークファンタジーな世界観を意識してか全体的に彩度が低く、もやがかったような印象を受ける。特に光の表現については8年前の『FF15』より明らかに劣っている(ルミナスエンジンが凄いとも言える)。
光の表現に絡んで暗いシーンやフィールドが多すぎる。ダンジョンはほぼ全て暗く、HDR環境に最適化したという話だったがHDR環境でも暗い。物語終盤から空が暗くなるのも悪影響。
ディスプレイスペックにも依存するため一概には言えないものの絵作りは配信映えやSNS映えにも影響し、映えという観点では失敗と言える。今はスマホの小さな画面でも一目で分かるような美しさを目指した方がいいはず。
グラフィックに関しては加減点なしだが本来であれば加点できる項目なので非常にもったいない。
フィールドについては4つの国に対応した広いフィールドが用意されている。体験版をプレイした時点では一本道のイメージを抱いていたのでサプライズな評価点。
各フィールドは村と広めのエリアが一本道で繋がったアリの巣のような構造となっており、自由に横断できるオープンワールドのような作りではない。また、各国の首都相当の大きな街はダンジョンとなっておりフィールドの該当地点から別マップをロードするような形となっている。
大きな街をフィールドとして探索できないのは残念ではあるものの各フィールドは寄り道できるような作りなのでこれ自体は構わない。
しかし、各エリアのフィールド構造は高低差の少ない平坦な作りでグラフィックと同様に映えポイントとなる絶景が少ない。『FF14』や『聖剣VoM』の方がグラフィッククオリティは低いのに高低差を活かした絶景が配置されていて美しいフィールドが多かった。
ロケーションも大別すると草原と砂漠しかなく定番の火山や雪山がない。また、フィールドに落ちている素材や宝箱などの探索報酬が弱く探索する旨味も少ない。
『FORSPOKEN』と似た印象があり、ロケーションの多彩さと探索の楽しさはRPGにおける重要な要素のはず。フィールドについても加減点なしとなる。
動かすのが楽しい本格アクションではあるものの不満点も目立つ
大前提として「アクション」は自キャラの操作性や敵のモーションなど、「戦闘」は難易度やカスタマイズなど成長要素を含めた総合的なものとして扱う。
本作の「アクション」は『DMC』ベースというよりはジャスト回避主体の『ニーアオートマタ』に近いように思えた。
基礎アクションとして4連コンボに魔法を差し込んだり、チャージ魔法で打ち上げたり、突進や空中踏み上げジャンプ、さらには相棒の狼トルガルによる打ち上げも可能でこれらだけでも長い空中コンボが可能。
さらに、召喚獣により急速接近やジャスガなど制限なく使えるフィートとクールタイム制の2種類のスキルを装備でき、同時に3つの召喚獣をセットできるため計3つのフィートと6種のスキルが使える。『FF14』のスキル回しに近いかもしれない。
レスポンス良く思い通りに動かすことができ、組み合わせ次第で多彩なコンボが構築可能で本格アクションであるのは間違いない。
しかし、アクション面でも不満点はある。基本的には楽しいので要望に近い。
一つ目は空中の追撃方法がフェニックスシフトのみ。
これにより空中コンボしたければ召喚獣の一つはフェニックスに固定されてしまう。フェニックス=シフト感もないのでシフトは基礎アクションに入れてほしかった。ジャンプ力が低い&2段ジャンプがないのも追撃できない要因になっている。
二つ目はパリィタイミングが気持ちよくない。
『SEKIRO』のパリィ主体のアクションが素晴らしく、それを発展させた『FFオリジン』は全ゲーム中で一番と言えるほどアクションが気持ちよかったのだが、本作のパリィはキャラクターの武器の振りに合わせて判定される。つまり、ボタン入力から数フレーム遅れがパリィタイミングとなっていて合わせるのが気持ち悪い。(敵のパリィ対象攻撃に対してプレイヤーの動き出し&攻撃ボイス後でも攻撃を食らう)
成功するとスロー&クールタイム短縮されるが失敗するとそのまま被弾してしまうのでジャスト回避と比較してリスクリワードも微妙。タイタンのジャストガードと同じ被弾のタイミングで調整してほしかった。
三つ目は召喚獣切替ボタンが一つ。
召喚獣3体を切り替えて戦うスタイルなのに切替ボタンが一つのため、咄嗟のときに切替先を選ぶのが難しい。今の召喚獣と切り替え先の召喚獣を瞬時に把握してその回数切替ボタンを押すのは初心者も上級者もややこしいはず。
ジョブ2つを切り替える『FFオリジン』でも混乱することがあったのでせめて切替ボタンを2つにすべき。
四つ目は武器種が一つ&基礎コンボが一つしかない。これは後述するカスタマイズ幅の狭さにも繋がる。
本作の武器種は片手剣のみで4連コンボしかない。最初から最後まで4連コンボのみで戦うこととなり単調さに繋がっている。一応、召喚獣やトルガルとの組み合わせでコンボを拡張することはできるが、召喚獣の解禁がストーリー依存で遅く、トルガルも常にいるわけではない。
インタビューによると「武器種を増やすくらいなら召喚獣を増やす」という方針であった様子。であれば召喚獣を今の倍に増やしてストーリー進行に依存しない召喚獣も追加すべき。そもそも本作は世界観・ストーリー・召喚獣バトルなど関わりが強すぎて召喚獣を増やすのは難しいはず。素直に武器種とコンボを増やして欲しかった。
ちなみに、『FFオリジン』は本編だけでも8種の武器がありそれぞれに3連コンボ、前派生、横派生、後派生のモーションと異なる技がセットでき、状況に応じてコンボを使い分ける駆け引きが生まれていた。しかも本編だけでジョブが28種もあり、キャラクターの成長依存で解放できる。
他に、戦闘に関わらないアクションとしてダッシュ制限やチョコボの操作性の悪さはストレス要因であり減点要素。アクションゲームにおいてアクションを制限するのは悪であり自由にダッシュできないのは移動時間の水増しでしかないので今からでもダッシュボタンを追加すべき。私は中盤からチートでダッシュボタンを追加していた。
関連記事:PC版『FF16』街でもダッシュボタン追加、召喚獣アンロックなどのチート紹介
仲間不在の低すぎるカスタマイズ性=「RPG」ではない
「戦闘」については不満点の方が上回る。
前述の「アクション」に不満点はあるものの多彩なコンボを組み立てられるため基本的には楽しい。しかし、敵のウィルゲージ(体幹みたいなもの)を削って長時間のダウン中に大ダメージを叩きこむというパターンの繰り返しなので毎回同じようなスキル回しになりがちで単調になってくる。
また、ボス戦ではHPを削ったときの形態変化で豪華なQTE演出が用意されておりこれ自体は見応えがあるものの、あまりにもQTE回数が多い。せめて形態変化ごとに1度のQTEにすべき。
さらに問題はカスタマイズ幅が低すぎること。
召喚獣スキルが全てアクティブスキルであるため、新たに解放した召喚獣が合わなかった場合は全く使わず変化のない戦闘を続けることになる。召喚獣ごとにいくつかのパッシブスキルも用意しておけば召喚獣解放がモチベーションアップやプレイ感の変化に繋がったはず。
『FFオリジン』ではジョブを強化すれば他ジョブでも使用可能な技とアビリティを覚えるだけでなく、ジョブ適性を揃えると発動するパッシブアビリティも無数にあり、組み合わせによる奥深いカスタマイズが可能であった。
また、装備箇所は召喚獣以外に武器1種、防具2種、アクセサリ3か所あるが、武器と防具は探索せずともストーリー進行すればその時点で最高のものが拠点で揃ってしまう。
新たな街を訪れて武器防具を整えるという「RPG」的な楽しさが全くない。宝箱から入手することもなかったはず。宝箱自体も装備の強化素材がほとんどでありフィールドにも同じものが落ちてるので探索報酬の弱さに繋がっている。
一応、最強の武器防具はサブクエやモブハント報酬が必要な作りにはなっている。
こういう作りで衣装に反映されないなら防具が2か所ある必要性もない。(武器は見た目が変わる)
アクセサリは宝箱に入っていたり街ごとに品揃えが変わるものの本作には属性や状態異常がなく、ほぼ全て召喚獣スキルのDPSを伸ばすアクセサリとなっているため、入手したときの喜びが薄い。
例えば従来作品は終盤で「リボン」に代表される強力なアクセサリが入手できるのが魅力だったのに本作にはそれがない。
せめてレベルや進行に応じてアクセサリ枠が増えればもう少しカスタマイズを楽しめたはず。
極めつけは仲間全員がゲスト扱いであること。
従来のRPGのように進行に応じて仲間が増えずに基本的に主人公一人(+一匹)なので、仲間の装備やスキルをカスタマイズする要素が全くない。
『FF15』『FFオリジン』もプレイアブルは一人であったが、仲間も自由にカスタマイズできるからこそプレイアブルが一人でも楽しめるものになっていた。
これはメインストーリーやサブクエにも影響していて、仲間がいないため基本的に主人公だけが会話するという作りになってしまっている。
一般的には経験値によるレベルアップで強くなっていけば「RPG」と呼べるのかもしれないが、本作は中盤のイベントで全フィールドの敵が強くなり、レベル制の醍醐味でもある「序盤の強い雑魚を終盤は楽に倒せる」という体験もしづらい設計になっている。
個人的には『FF16』は「RPG」でも「アクションRPG」でもなく「アクション」であると判断する。
最後に難易度が簡単すぎる。
ボス戦を普通にやっても負ける気はしなかったので、ポーションをぎりぎりまで使わない緩い縛りでプレイして唯一オーディン戦だけまともにやられたくらい。(回復を怠ってSランクモブなどはやられた)
インタビューによると2周目FFモードが本来の難易度らしく1周目は初心者向けに簡単にしたとのことだが、初心者向けはサポートアクセサリにより実現できているはず。
『聖剣VoM』でも全く同じ感想を抱いたが、スクエニはアクション初心者を意識しすぎて他作品でもノーマル難易度が簡単すぎるのでハード相当をノーマルにした方がいい。現状は初心者に優しいのではなくゲーマー軽視でありノーマルでのレビューが大半になることも昨今の厳しい批判の要因であると考える。
配信効果も悪影響であり適当にプレイして倒せるのなら視聴者に「自分ならこうやる」「実際にやってみたい」という意識が芽生えない。初心者向けとしては本作のオートアクセサリや死んでもその場で復活できるような救済要素があればいい。
また、昨今はエンタメが溢れすぎて可処分時間の奪い合いなので、本来の難易度である2周目をプレイする人は限りなく少なくなってしまう。どうしても周回前提の作りにするのなら1周を短くしてほしい。
本作には恒例のミニゲームがすべて戦闘コンテンツとして用意されているが、最終的なやり込み要素がダンジョンを周回するアーケードモード&スコアランキング(2周目限定)であることも時代に合ってない。ダンジョン周回にするなら『FFオリジン』のような成長要素を入れたり、ボス戦や召喚獣バトルだけを短時間で何度も挑めるモードにすべきだった。
多くの不満点が改善されたDLC
本編への批評を踏まえて作られたと思われるDLCは多くの要素が改善されていて非常に面白かった。改善点を以下に列挙する。
●明るく美しいフィールドとダンジョン
●召喚獣バトル以外は常に仲間が同行⇒イベントや道中や戦闘中に仲間と会話してくれる
●探索報酬が強化され宝箱はアクセサリかレア素材
●初見ではほぼ確実にクリアできない歯応えのある難易度のボス戦(QTEもほぼなし)
●アクションの幅が広がるアクセサリの追加
4.個人スコア
80点/92
※点数はレビュー方針に沿った感覚的なもの。70点あたりがSteamでおすすめするライン。
体験版プレイ時からBGMと召喚獣バトルが強いモチベーションとなり、後々手に入る召喚獣や世界観も気になっていたため80点以上は固いと思いながら本編をプレイした。
しかし、仲間がいないわけではないが、相棒のトルガルですらいないタイミングもあるため最大は92点まで減点。
加えて、あまりにも見てる時間が多いテンポの悪さ、ダッシュできないアクション制限、「RPG」とは呼べないカスタマイズ性の低さなどで大きな減点となり、本編だけなら75~78点くらい。それでも2周目をやる意欲はあるので少なくとも一本道系よりは楽しめた。
一方でDLCは素晴らしい出来であり、それで盛り返して80点とした。
仮に本編全てがDLCのような作りであれば80点後半になったはずで非常にもったいない。
似た印象の『FF15』はMODによる拡張性の高さで神ゲーになったが、本作はMODによる拡張があまり見込めないのも残念。
次作は『FFオリジン』のようなアクションとカスタマイズ性を目指して欲しい。PC版待ちの『FF7リバース』には期待している。
-2024/11/11
MODDERが増えることを願ってこの記事を書いたので、MOD制作&投稿までしても…