『モンハンワイルズ』(モンスターハンターワイルズ、Monster Hunter Wilds、MHWs)のレビューです。

70点基準で加減点、「仲間」がいないと-10点、ゲーム媒体ならではの体験重視、テンポや快適性が悪いと減点、ストーリーは採点対象外などのレビュー方針は以下のリンク。
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1.概要
PS5世代のモンハンシリーズ最新作。
進化したフィールドや生態系表現、モンスターの攻撃した部位に傷ができる傷口システムなどが特徴。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 発売日 | 2025/2/28 | |
| ハード | PC/PS5/XboxXS | |
| 外部ストア | GamesPlanet | 大抵はSteamより安い |
| メタスコア ユーザースコア | 88 7.1 | PS5版 |
| オープンスコア | 89 | |
| Steamレビュー | 49%賛否両論 | |
| Amaonレビュー | ★4.2 | PS5版 |
| ゲームカタログ | - | 話題作のため白紙保護 |
| 平均クリア時間 | 43.5時間 | |
| ストーリーを教えて貰うwiki | - | |
| スタッフロール(クレジット)人数 | 2650人 |
2.購入価格やプレイ記録
PSPの『モンハン』2作をやり込んでいたが、『モンハンワールド』発売当時はゲームに復帰したばかりで買う機会を逃した。評判の良かった『モンハンライズ』は買う気マンマンで体験版をプレイしたらグラがしょぼ過ぎて見送り。
『モンハンワイルズ』はOBTをプレイして絶対買うと意気込んでいたところ、直前に『無双オリジンズ』と『FF7リバース』が連続リリースされ、さすがにやる時間ないと発売日には見送り。
そうこうしているうちに5月に旧PCが壊れて、新PCを購入したらAMDキャンペーンで貰えた。
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タイトルアップデート(TU)第2弾後の夏にプレイ開始。約20時間でメインストーリー(下位)クリア。約50時間でクリア後ストーリー(上位)クリア。その後も120時間以上継続プレイ中。
ちなみに、去年ゲームパスでやった『ワイルドハーツ』はモンハンをあまりやってなくても本家を超えたと言えるほどの神ゲーだった。
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3.レビュー
最初に言っておくと本作はさすがに叩かれ過ぎ。
事実としてPC向けの最適化はお粗末で、それが主要因としてSteam評価は低くなっているが、PC以外のプラットフォームの評価はおおむね高い。
比較としてユーザースコアは『モンハンワールド』と大差なく、2025年に出た大ヒットシリーズの新作という共通点のある『マリオカートワールド』は超えている。Steamレビューは購入者限定かつプレイ時間も表示されるため一番信頼しているが、マルチプラットフォームの場合は注意が必要といういい例。
ゲーム内容への不満点はアップデートにより解消され続けており、TU4後の現在は時間が足りないくらいかなりやり込める。とはいえ、改善が難しい根本的な不満点もたくさんある。
新規性、良い点
●ダイナミックな天候変化のある美しく広大なフィールドと作り込まれた生態系
美麗なグラフィックと広大なフィールドは、今回購入を決意した一番の理由であるほど圧巻。(AMDキャンペーンで貰えなかったら買ってた)
グラフィックも単に綺麗なだけではなく、毛の質感や砂地や泥によって汚れ方が違ったり、複雑な足場に合わせて歩きモーションが変わるのが凄い。地形に合わせて足の位置が変わるのは今のAAAでは当たり前だが本作はモーションそのものが変化する。
特に食事シーンの作り込みは半端なく、食べ物の柔らかさやトロみなども3Dで再現されつつしっかりと食べる描写まである。『FF15』の食べ物は今見ても綺麗だが、9年経ってようやく超えたと言える作品が出てきた。食事シーンを見るのは毎回楽しみで、スキップせずに見続けている。

フィールドは前半3つと後半3つがシームレスに繋がっており、見えてない範囲でもモンスターが活動しているのも好感。咆哮で近くにモンスターがいることが分かったりする。
しかも各フィールドにはダイナミックな天候変化があり、モンスター同士や環境生物による複雑な生態系も描かれる。環境素材集めのためにフィールドを散策していると、未だに新たな発見があって楽しい。
とはいえ、本作のメインコンテンツはハンティング。プレイ時間のほとんどはクエストを受注して目的のモンスターに挑み続けるので、探索や生態系を楽しむ時間は少ない。
クエスト受注だと開始時の天候が固定され、毎回ファストトラベルして開始するので、フィールドがシームレスである必要性も薄い。クエスト受注形式ではなく、探索しながらフィールドを闊歩する大型モンスターを狩るという方向に変化した方が良かったように思う。
フィールドについては不満点もあるのでそれは後述する。
ちなみに見えない部分も処理しているせいか本作は非常に重く、RTX5070だと最高設定で50fps前後。とはいえDLSSの4倍フレーム生成によりヌルサク動作しており、フリーズやバグは一度も発生してないはず。
●リアリティとアクション性が増す画期的な傷口システム
最近のモンハンはやってなくても、本作の戦闘システムはシリーズ最高傑作と言える。
モンスターに攻撃し続けると攻撃した部位に傷口ができ、傷口に特殊攻撃を放つと大ダメージを与えることができる。見た目的にリアリティがあるだけでなく、傷口を狙って立ち回るという他のゲームにない戦略やアクション性が生まれている。一応『ワイルドハーツ』にも似たシステムはあるが用途が違う。
モンハンは作品ごとにアクションが異なるらしいが、傷口システムがないのであれば過去作をやる気が起きないほど素晴らしいシステム。
また、『FF』や『エルデンリング』などにも巨大モンスターは登場するが、本作にはその数倍サイズのモンスターもいる。部位ごとに硬さや弱点があり、等身大の人間の力で巨大モンスターと戦えるのはモンハンならでは。巨大モンスターに対しても傷口システムは有効に機能している。
そもそも個人的にもっさりアクションは苦手で、PSP当時は比較的スピーディーな双剣を使っていた。CBTでのもっさり具合に不安を感じつつ、今回は初めて操虫棍のみを使い続けてるが、モンハンはモンスターも大抵もっさりなのでちょうどいいということが分かった。
フロム作品だとプレイヤーだけもっさりで敵だけ早いことがあり、そういう場合はストレスを感じるが、本作はもっさりでもストレスはない。とはいえ一番好きなのはコエテク系のハイスピードアクション。全体的なアクション性や気持ちよさは『ワイルドハーツ』の方が上。
●膨大なクエストと沼仕様なカスタマイズ
アップデートも含めての話となるが、追加されるモンスターや期間限定クエストなどの存在により、やれることが膨大。120時間のプレイで強化のための周回はあまりやれておらず、期間限定クエストの周回にほとんどの時間を費やしている。
期間限定クエストで作れる装備品は決して強くはないものの、限定の見た目装備を入手できるうえに個人的に好きなネタ装備も多めなのがいい。ソシャゲのような仕組みはどうなのかという思いもありつつ、私はそれ目的にプレイできているので本作においては正解と思える。
また、TU4でエンドコンテンツとなる強化が解禁され、ランダム性能を追い求めるハクスラ要素となっていてかなりの沼仕様。これからは最終強化のための周回をメインにやる予定。

そもそもモンハンシリーズはモンスターと装備品が膨大だが、本作の発売時点では強化しても倒すべき敵がおらず、見た目装備のためだけにモンスター周回を繰り返す状態だったと思われる。
現在はオメガという圧倒的な強モンスターが実装され、そのうえでランダムな性能やシリーズスキルを狙って周回するというモチベが生まれている。とはいえ、同じモンスターの繰り返しになりがちなのはなんとかしてほしいところ。
●頼りになるサポートハンター
本作のサポートハンターはかなり頼りになる。あらゆる攻撃手段や回復やバフもしてくれるうえに、たとえば寝てるモンスターに爆弾を設置するとサポハンも爆弾を設置してくれるといった連携もある。超賢い。
私は初見のモンスターはソロ+サポハン、周回は野良マルチをすることが多いが、マルチをまったくやらずにサポハンだけですべて事足りるレベル。
ただ、サポハンごとに固有のキャラとなっていて、ストーリーでがっつり関わるのはオリヴィア一人くらいなので、他のサポハンとの絡みも描いてほしかった。一応TU4のゴグマジオスでちょっと描かれてはいる。

あと、本作はRPGのような体験を目指してた様子なので、それならばサポハンもRPGの仲間のようにカスタマイズや強化できてもいいように思える。
マルチのときは仲間と入れ替わるか、見た目だけサポハンで中身はマルチの人という作りでいい。
合わないところ、悪い点
良い点で挙げた要素には表裏一体で不満点もたくさんある。
●縦の密度があるのに分かりにくいフィールド
広くてもスカスカのフィールドよりも、縦方向に密度を高くすべきという議論が結構前にあり、本作は縦方向の密度はしっかりある。
しかし、その作りが失敗している。
おそらく多くが求める縦の密度というのは、高い山や建物があれば登れたり、深い崖があれば降りれたりといったもの。本作はそういう作りではなく多層構造になっていて、あそこを登りたい降りたいと思えるようなランドマークがない。あっても遠くから見えるようになってない。(砂原と緋の森は多少ある)
また、多層間の移動はほとんどセクレトによるオート移動なので層間の繋がりをまったく覚えられない。
マップが層別になっているのは親切ではあるが、1枚のマップで表現できないフィールド構造自体が分かりにくさに繋がっている。1層のフィールド中でも高低差があるので、層を横につなげるだけで分かりやすくなったはず。

ついでにマップがアリの巣構造なのもイマイチ。『エルデンリング』や『ワイルドハーツ』はどちらも素晴らしい景観やランドマークがありつつ、1枚マップで表現できるフィールドの中に高低差のある構造となっているのでこれが正解。
これまでプレイしてきたゲームで縦に密度があるフィールドとして初の失敗例と思える。とはいえ挑戦した結果、失敗だと判明した事例だと思うので次作からは改善してほしい。
●煩雑すぎるアクション操作とUI
カプコンのアクション操作は他社と大きく違うことが多々ある。それが合わないのは一旦置いておく。
本作では△と〇が通常攻撃、△+〇が武器種ごとの特殊攻撃、R2が武器種ごとの特殊アクション。ここまではまだいい。
さらに、R2と組み合わせや、本作ではL2で集中モード中にR1で傷口攻撃もある。さすがに攻撃関連のボタンが多すぎ。
ついでに武器種も多すぎ。太刀と大剣、チャージアックスとスラッシュアックス、ランスとガンランス、ライト/ヘビィボウガンと弓あたりはそれぞれ特性を引き継いでまとめていい。(どれも使ったことない立場での意見)
おそらく反発はあるが、現状だと使い慣れた武器種から乗り換える気にならないのと、武器種ごとに数十におよぶ武器を用意しないといけないというリソースがもったいない。新モンスター追加=全部機種に新武器追加でもあるため、モンスターを追加しづらい状況も生まれているようにも思える。
ちなみに『ワイルドハーツ』は全8武器種がしっかり差別化されていて、操作もシンプルなので全武器種を使う気になれた。
UIはもはや酷い、これも過去作から引き継いだ弊害。
分かってくれば必要な情報が表示されてることは分かるが、本作は久しぶりのモンハンだったこともあり装備のスキルの見方などは上位クリアしてからようやく理解できた。
階層も深く分かりにくいので、このあたりもシンプルにすべき。
●見るだけの体験となるメインストーリー構造
本作はシリーズで初めて拠点間を移動しながらストーリーが進行する形式となった。ただし、その描き方がモンハンと合ってない。ちなみにストーリーそのものは採点対象外だが悪くない出来。
本作のメインストーリー進行は、イベント→強制オート移動→バトル(ボス戦)という構造。オート移動中も基本は見るだけなので、ひたすらイベントを見てボス戦、またイベントの繰り返しとなる。
一般的なRPGはイベント・バトル・探索がバランスよく配置されているが、本作のメインストーリーでは探索とバトル(雑魚戦)ががっつりと抜け落ちている。
レベルアップがないモンハンなので雑魚戦は不要だが、探索は入れるべき。強制オート移動をなくして目的地まで自由に行動できる作りにするだけで改善できたはず。
もちろんメインストーリー間でクエスト受注すれば自由に探索できるが、下位のメインストーリークリアまでは簡単なのでクエスト周回する必要がない。メインクリアまでに周回するのは面倒で、これ自体は間違ってないので、やはりメインストーリーの中で自由行動できるようにすべき。
●簡単すぎた難易度
上位のメインストーリー進行は、ハンターランクが条件となってクエスト周回が必須となるので、上記の見るだけの体験はかなり改善される。しかし、下位はともかく上位でも難易度が簡単すぎる。『FF16』に近い感想。
そこまでに入手した素材で作れる装備をしておけば、苦戦する瞬間はあるものの実際に死ぬ(1乙)ことはほぼなかった。一つの理由として本作のセクレトが有能すぎて、大ダメージを食らったときに呼べば大抵はそのまま安全圏に移動して回復できるというのがある。セクレトのオート移動自体は便利なので(オート移動中の操作性の悪さはなんとかしてほしいが)、セクレト前提での難易度調整にすべきだった。
また、発売当時は難易度が低すぎて倒すべきモンスターがおらず、周回して強力な装備を作る意義がなかったはず。
とはいえ、アップデートで追加されたモンスターは、どれも初見だと1度は死ぬくらい強くて、オメガの上位は未だに倒せてないくらい凶悪。こういうモンスターがいるからこそ強い装備を作りたくなるので、現時点では難易度についての不満はない。
4.個人スコア
80点/100(最大98点)
※点数は「Steamおすすめする70点」を基準にレビュー方針に沿って加減点した感覚的なもの。
仲間(サポートハンター)がいるもののカスタマイズできないので最大から-2点。
世界の作り込みや戦闘システムなど素晴らしい点はあるものの、下位クリア時点では60点くらい。上位クリア時点で70点くらいになり、その後のアップデートや各種イベントのプレイにより80点となった。
点数に無料で貰った影響はほぼないが、発売日に定価で買った直後にレビューしたらもっと低かった可能性はある。
元から素晴らしい要素があり、アップデートによってやり込み要素が追加されてかなりよくなったが、改善が難しい根本的な不満も多いのでこれ以上のアップデートがあっても今の点数が限界。とはいえ大型拡張DLCが出たらおそらく買う。
次のモバイル向け新作『モンハンアウトランダーズ』は、オープンワールド風のフィールドがかなりよさそうなのでPC向けにも検討してほしい。
これを書いてて『ワイルドハーツ』をまたやりたくなったのでセールで購入を検討中。
-2025/12/31



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