『EDF5』(地球防衛軍5、EARTH DEFENSE FORCE 5)の感想&レビューです。

レビュー方針は以下の通り。

レビュー方針

●ジャンルを問わず一緒に戦う仲間がいないゲームは問答無用で強制的に-10点
⇒個人的な絶対指標であり一人旅だったりレースやパズルや音ゲージャンルなども最大90点となる

●動かす楽しさ、自由度、戦闘システム、成長要素やカスタマイズ性などゲーム媒体ならではの体験を重視

●プレイせずとも動画で見れたり存在しない場合もあるためストーリーの良し悪しは採点対象外(ゲーム媒体という特性を活かしたストーリーならば好みで加点することもある)

●好きなジャンルであるアクションRPG(ライク)は加点

●動かす楽しさが損なわれるので奥行きのない横スクや3Dでもジャンプできない場合は減点

●順序や分岐などプレイヤーによって体験が変わるストーリーであれば加点

●イベント(カットシーン)や戦闘やロードが長い多いなどテンポが悪いと減点

●サブクエ、エンドコンテンツ、ミニゲーム、周回要素などでボリュームがあれば加点(水増しや作業感の強いものはNG)

●苦手な一人称視点は減点(ホラーなら許容)

●世界観、キャラクター、衣装チェンジ、モーション、フィールド、グラフィック、アートデザイン、イベント演出、BGM、SE、エフェクト、物理演算、オブジェクト破壊、ボイス対応、オンライン要素、販売価格などは好みで加点

●装備破壊、所持数や重量制限、空腹度、ダッシュ時スタミナ消費、取り返しのつかない要素などめんどくさいだけの仕様は基本的に減点(ダンジョン攻略や戦闘中のみの難易度の一環になっていれば許容)

●操作性、UI、キーコンフィグなどのアクセシビリティ、チュートリアル、解像度、フレームレート、翻訳品質などはプレイした時期の標準未満であれば減点
⇒総合的な「ユーザビリティ」=「遊びやすさ」であり必然的に古いゲームや小規模タイトルは点数が下がる

●新たな体験に繋がるこれまでにない新規性や革新性や独自性があれば加点

●遊びの幅が拡張されるMODやチートがあれば好みで加点

各項目の加減点に上限はない
⇒ある項目が突出して良かったり悪かったりすればそれに依存した点数となる

1.概要

元はPS2のSIMPLE2000シリーズから誕生したTPS。
地球防衛軍の一員となって大量の巨大生物を相手にミッションをクリアすることで、新たな強い兵器を入手したりHPを増やしてさらに難しいミッションへと挑んでいく。
強力な兵器で大量の敵相手に無双できたり、緻密な戦略が求められる高難易度が特徴。

項目内容備考
発売日2017/12/7Steam版は約2年遅れ
ハードPC/PS4
外部ストアダイレクトゲームズ基本的にSteamより安い
メタスコア72PS4版
ユーザースコア7.7
オープンスコア73
モビースコア7.5
Steamレビュー94%非常に好評
Amaonレビュー4.4PS4版
ゲームカタログ良作
平均クリア時間44時間
ストーリーを教えて貰うwikiなし
各スコアは執筆時点のもの

2.購入価格やプレイ記録

初代からプレイして、一時期辞めていたゲームに復帰する切っ掛けにもなった思い入れのあるシリーズでもあり、Steam配信から3年経った2022年9月に70%オフ2400円弱で購入。
購入後すぐに「初見でオフラインインフェルノ」を20時間ほどプレイしたものの、無料ゲームパスや他の作品を優先して積んでしまい2024年6月に復帰して50時間でクリア。

なお、MOD&チートにより「4武器ウィングダイバー」「無限エネルギー」「味方NPC無敵」「自動回収」「ドロップ約2倍」を使用してプレイした。理由は後述。

シリーズ作品のプレイ履歴としては『EDF』『EDF2』をほぼフルコンプ、『EDF4.1』を1兵科でノーマルクリアのみ。

関連記事:PC版『EDF5』『EDF4.1』MOD導入方法とMOD紹介

3.レビュー

唯一無二の爽快感と達成感を得られるシューター

まず、私はシュータージャンルにあまり魅力を感じない。遠くの小さな敵を狙う=エイムという操作に面白さを感じにくいのだと思われる。
しかし、本作は「人の数倍~数十倍もの巨大な敵」を「100匹レベルで大量に」出現させることでエイムの煩わしさが軽減されており、雑に狙ってもヒットさせることができて気持ちいい。
「大量の敵」が出てくるゲームは無双やゾンビものなどいくつもあるものの、「巨大な敵」とセットになっているものは本シリーズしかないと思われ、他のゲームにない唯一無二の特徴となっている。

さらに本作のプレイヤーは人の大きさでありながら爆破兵器などで高層ビルのような巨大な建築物も破壊可能。しかも兵器の弾数は無制限。
これもおそらく他のゲームにない唯一無二の特徴であり、「大量の巨大な敵」と「建築物破壊」の組み合わせにより本作でしか体験できない爽快感が生み出されている。
ちなみに、ウィングダイバーという兵科は空を飛ぶこともでき、これも他のシューターにあまりない特徴。

そして、ここまではノーマル難易度の話。
最高難易度になると大量の敵それぞれが一発でやられるほどの高火力を備え、ミッションを何度もやり直す死にゲーのようなゲームに化ける。
持ち込む兵器や立ち回りなど緻密な戦略が求められ、苛烈な敵の攻撃に耐えてクリアできると格別の達成感を得られる。
HPに相当するアーマーは無限に稼げるので理論上はゴリ押しクリアも可能。(オンラインは制限あり)

これらの唯一無二の特徴がしっかりと面白さに繋がっておりこれだけで満点クラス
私はオフラインでしかプレイしてないので、オンライン協力プレイもあることを考慮すれば本作の面白さは計り知れない。

非常に細かなモデリングやテクスチャによって描き込まれた建築物も魅力。しかも破壊できる。

中二心をくすぐる多彩な未来兵器と多すぎ長すぎなミッション

本シリーズでは敵が兵器やアーマーをドロップし、オーソドックスなアサルトライフルやロケットランチャーから現実には存在しない反射兵器やエネルギー兵器など4兵科ごとに多彩な兵器が用意されている。
それぞれのエフェクトも非常に良く出来ており、適当に撃つだけでも気持ちよさがある。特に数十~数百メートルもの広範囲に及ぶ爆破エフェクトの迫力は世界一と言っても過言ではない。

しかし、兵器には強さに相当するレベルが設定されていて高難易度ほど強い兵器が手に入るので、一種類の兵器に10段階くらい用意されていて上位互換がほとんど。これにより高難易度では低レベル兵器はほぼ無意味となり所持兵器が多すぎてUIも見づらくなってしまっている。

これに絡んでシリーズを重ねるごとに1ミッションのウェーブも長くなり、ミッション数も増え続けて1兵科1難易度クリアすら膨大な時間がかかる。
シリーズナンバリングの変遷を調べると以下の通り。

タイトル(発売年)ミッション数難易度兵科数兵器数
地球防衛軍(2003)255段階(クリア報酬あり)1100以上
地球防衛軍2(2005)786段階(クリア報酬あり)2300以上
地球防衛軍3(2006)605段階(クリア報酬あり)1171
地球防衛軍4.1(2015)89オフライン
98オンライン
49DLC
5段階4700以上
地球防衛軍5(2017)110オンライン
111オフライン
29DLC
5段階
(3段階目まで一括クリア可)
41100以上
地球防衛軍6(2022)147オンオフ共通
59DLC
5段階
(3段階目まで一括クリア可)
41300以上
発売年は移植元のCS版が発売された年

兵器もミッションもボリュームが多いことは悪くないのだが、ミッションのほとんどが「どれかと似ている」ミッションなので水増しに感じてしまう。しかも、シリーズ経験者ほど過去作で体験したことのある見覚えのあるミッションになっている。
一応、ミッション中の無線通信によりシナリオが展開されるものの、後半ミッションは前半ミッションの難しいバージョンという感じなのでそれらを統合して、せめて100ミッション以内に収めるべき。個人的には今のミッションの長さだと100ミッションでも多い。

そして、これが初見でMOD&チートを使用した理由でもある。
『EDF4.1』では1兵科ノーマル難易度クリアでお腹いっぱいになってしまい、高難易度でしか出現しない兵器や敵などを堪能できなかった。それを踏まえて『EDF5』では最初から最高難易度をプレイしたかったのだが高難易度をプレイするには1周クリアして解禁する必要がある。
しかし、過去作と似たミッションを何度も繰り返す気にはなれないので、MODを使って初見インフェルノをプレイする決断をしたのである。
MODを使いつつも多少は縛ってプレイしたのでそれなりに苦戦しつつ非常に楽しめた。

SIMPLE2000から変わらな過ぎるシステム(=要望)

既に述べた通り、本シリーズのゲーム性としては満点クラスなのだが、低予算タイトルだったSIMPLE2000の頃から基本的にシステムは変わっていないのでさすがに見直しが必要。
シリーズ作品の当たり前を見直して2000万本超もの大ヒットに至った『モンハンワールド』『ブレワイ』『エルデンリング』がいい例。
また、2024年にヒットした『ヘルダイバー2』は「大量の敵」が出てくるという点で似ているゲームだと聞いており3か月で1200万本も売れた様子。
『地球防衛軍』もシューター人気な海外メインで1000万本売れるポテンシャルがあると断言できるので煩わしい点を挙げていく。

なお、『デジボク地球防衛軍』などの外伝作は未プレイなのでそちらに実装されているシステムがあるかもしれないし、そのまま取り入れるとゲームとして壊れるリスクも承知した上で挙げていく。

●アイテム回収
初代から残っている最悪な要素。現状は敵を一匹残してフィールドに散らばったアイテムを地道に回収する単なる作業でありめんどくさいだけの要素になってしまっている。
ミッションクリアで自動回収するMODを導入してプレイしたものの、クリアするまでは回復とそれ以外がレーダーで分からないので適宜回復以外を拾っておく必要性がありしっかりとゲーム性は残っていた。
仮に自動回収MODを使わなかったらそれだけで-10点となるほどの減点要素。

●ボリュームアップ=水増し
初代からあらゆる面がパワーアップした2、グラフィックが見違えるほど綺麗になった3、4兵科制になった4まではゲーム体験も変わる進化と言える。
しかし、5は単にミッションと兵器が増えただけのように感じており6も聞く限りは同様。
次回作ではゲーム体験の進化を目指して欲しい。
ミッションに関して言えば、敵や配置が毎回同じではなくランダムなミッションもあるとハクスラ的に遊び続けることもできるはず。

●5難易度
初代から続く5難易度制はミッション数が少なく各難易度制覇のクリア報酬=強力兵器があったから成立していたはず。
クリア報酬がなくなったのはオンラインが実装されたためだと思うが、それならば難易度は少なくしてもいいはず。実際、達成率15%の実績ですら取得率は20%しかない
昨今はそれなりに難しいゲームが好まれるので、それなりのスキルや立ち回りが要求されるノーマル、誰でも必ずクリアできるイージー、強化前提のインフェルノに相当する3段階あれば十分。少なくともオフラインにおいては最初から全て選べるようにして上位難易度クリアで下位難易度もクリア扱いとすべき。
逆にオンラインは長く遊べるよう複数難易度あってもいいかもしれない。

●ミッションリトライ
シリーズを重ねるごとに1ミッションが長くなっており、例えば4ウェーブ目など後半で失敗したときの徒労感も比例して大きくなっている。しかも本シリーズはフレンドリーファイアがあるので後半に自爆で失敗するとストレスも半端ない。
やり直す場合にすでにクリアできた1~3ウェーブをやるのが時間の無駄に感じてしまい、昨今のトレンドにも合っていない。流行りの死にゲーは第二形態含めても数分なのでその辺りが限界値。
例えば4ウェーブ目からでもリトライできるようにして、その場合は報酬を少なくすればバランスは取れるはず。途中リトライの場合はクリアマークが変わってもいい。

●兵器入手や強化システム
終盤ミッションや高難易度で強兵器が拾えるシステムだが、序盤の弱い兵器の出番がなくなってしまう上に兵器数も多すぎて探すのがめんどくさい。
ハクスラシューターのように、ベースとなる兵器に属性や拡散やホーミングなど特殊効果を付与してビルドを構築するという手法もあるはず。お金を稼いで各種能力を強化するというシステムもある。
これなら各兵科にベースとなる10種類程度の兵器を各々の好みで強化できて差別化にもなり、無限に強化できるハクスラになればオンラインも長く賑わうはず。
アーマー周りも無制限強化が正解とは思えないので色々検討してほしい。

●グラフィック
シリーズを重ねるごとに綺麗になり、建築物の作り込みなどは目を見張るものはあるものの、AAA作品と比べるとやはり物足りない。
専門的なところは分からないがライティングがイマイチで作り物感が残っているように思われる。『EDF5』は2017年作品なので仕方ない面も理解はする。
『EDF6』ではオンラインプレイにクロスプレイ可能なEOS(Epic Online Services)を採用しているようなので、UE5を使った美麗グラフィックを目指してほしい。とはいえ、エンジン変更により現状の物理演算の感触まで変わってしまうと元も子もないのでしっかりと検討は必要。
少なくとも『デジボク』のグラフィックに私は魅力を感じないので買うことはない。ボクセルよりもアニメ調の方がまだ可能性を感じる。
また、蟻や蜘蛛などのリアルな生物や部位破壊表現に嫌悪感を抱く人も少なくないので、別のマイルドなモデルに置き換えるオプションがあるといいかもしれない。

●UI
これもSIMPLE2000の頃から基本的に変わらない悪い要素。
もっと見やすく使いやすいUIがあるはず。
少なくとも100以上のミッションを上下長押しスクロールでしか選べないのは間違っている。世界地図からミッションを選ぶ方式など検討すべき。
また、距離減衰やチャージ減衰や部位があるのなら敵に対する与ダメージ表示が欲しい。その際はオプションで非表示も選べるといい。

こんなところ。
『デジボク』では改善された要素もあると聞いているので、同様にAAAグラフィックで仕様を見直したコンパクトボリュームな『新生地球防衛軍』を検討してほしい。
もちろん売れなくなるリスクはあるので本編としてあまり変えずに『地球防衛軍7』と続けていくのは構わない。

4.個人スコア

90点/100(最大98点)

※点数はレビュー方針に沿った感覚的なもの。70点あたりがSteamでおすすめするライン。

本作には基本的に一緒に戦う仲間がいるが、ミッションによってはいなかったり仲間の強化はできないので最大から-2点。
唯一無二の爽快感と達成感を併せ持つゲーム性だけで98点満点となり、水増しなミッションなど諸々の不満点で-8点とした。

仮にMODなしでプレイした場合は80点前後、実際にプレイしたら70点台すらありえるので是非ともシステム周りの見直しをしてほしい。
今作で一旦お腹いっぱいになったのでSteam版『EDF6』はしばらく様子見する。

-2024/6/26

大戦を駆け抜けた精鋭部隊「ストームチーム」と同じ、 異星生命体との戦乱の渦中を決死の覚悟で生き抜いた「ラムダチーム」の物語。

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