『FF7リバース』(FINAL FANTASY VII REBIRTH、ファイナルファンタジー7リバース)の感想&レビューです。

70点基準で加減点、「仲間」がいないと-10点、ゲーム媒体ならではの体験重視、テンポや快適性が悪いと減点、ストーリーは採点対象外などのレビュー方針は以下のリンクより。
関連記事:ゲームのレビュー方針まとめ

1.概要

ミッドガル脱出後から忘らるる都までが描かれる『FF7』リメイクプロジェクト3部作の2作目。
1作目『FF7R』から進化したアクションとコマンドが融合したバトルシステム、原作ではミニチュアだったワールドマップがリアルスケールのシームレスなオープンワールドとして描かれることが特徴。

項目内容備考
発売日2024/2/29PS5先行
ハードPC/PS5
外部ストアGreen Man GamingSteamより安い
メタスコア
ユーザースコア
92
8.9
PS5版
オープンスコア92
Steamレビュー77%やや好評
Amaonレビュー星4.3PS5版
ゲームカタログ荒れやすいためなし
平均クリア時間91.5時間
ストーリーを教えて貰うwiki
スタッフロール(クレジット)人数3784人
各スコアは執筆時点のもの

2.購入価格やプレイ記録

1作目『FF7R』はミッドガルだけであったり、パーティー編成が自由にできないなど原作から劣化した印象で買わないつもりだったほどがっかりしていた。結局後日買ったものの、一方通行な作りや自由度の低さから、『FF10』『FF13』に並んでゲームとして合わなかった作品。(ストーリーは別)

しかし、2作目『FF7リバース』は打って変わって事前情報からオープンワールドなど自由度の高さが伺え、仲間が増えることもあり、PC版が出るのを楽しみにしていた。外部ストアにて30%オフ6602円によて予約購入。
結果として、約100時間かけてクリアして、現在150時間ほどプレイしてもまだ1周目のやり込み要素が終わらないほど楽しんでいる。MODも充実しているので2周目ハードもプレイ予定。

3.レビュー

まず大前提として、本作はリメイク3部作の2作目という非常に難しい立ち位置の作品。それにもかかわらずシリーズ最高傑作と言えるほど素晴らしい作品だった。

新規性、良い点

●ダンジョンまでフルシームレスなオープンワールドと多彩な街

前作『FF7R』ではミッドガルのみ、しかも原作同様下層の一部だけのフィールドになっておりそこが一番のがっかりポイントであった。ミッドガルのみなら8番街すべてと上層までフィールドとして探索できるようにしてほしかったところ。

一方で本作は、原作のワールドマップを美麗なオープンワールド(OW)として構築されつつ、街やダンジョンも原作の特徴を残してシームレスに繋がっている。まずこれが凄い。
そもそも原作は昔のデフォルメされたワールドマップ上で、街やダンジョンシンボルに触れると別マップがロードされる形だったので、当然ながらOWなんて考慮されてない。にもかかわらず、不自然さもなく、広大な海も含めてOW化されてることに本当に驚いた。しかも、それぞれ全く違うバイオームで異なるアクティブティも用意されている。
攻略自由度のようなレベルデザインは『エルデンリング』には適わないものの、原作に縛られつつ美しくシームレスなOWを構築しているのは不可能な事を実現していることに等しいくらいの出来。

さらに、街の作り込みも異常。それぞれ広大かつ多彩な街並みとなっていて見て回るだけでも楽しい。広さだけなら『聖剣VoM』の方が上だが、本作では住民のセリフもフルボイスで収録されていることも特徴。新しい街では探索したりセリフを聞いて回るだけで1時間以上かかるほどの作り込みが素晴らしかった。
街も含めるとフィールドは『エルデンリング』に匹敵していると言える。

●ジャストガードによりアクション性が大きく向上したコマンド融合バトル

本作も前作同様のアクションしながらATBゲージを溜め、ボタンを押すとスローモーションになりアビリティや魔法を発動できるリアルタイムと融合したコマンドバトル。
しかし、前作は敵の攻撃をガードしても被弾したり、キャラチェンすると敵のヘイトが即プレイヤーに向くといったアクションRPGとしてはイマイチな出来で、動かせるコマンドバトルという印象だった。

本作ではまず、全キャラクターがジャストガードが可能(正確には前作DLCのユフィもできた)。
ジャストガードすると被ダメを無効化できるのみならず、敵のブレイクゲージにもダメージを与えることができるので(マテリア必要かも)、アクション性が大きく向上し、理論上ノーダメ攻略も可能になった。多対多のバトルにより画面が賑やかで実際にノーダメにするのは難しいが、ノーダメできる可能性を用意することはアクションにおいて非常に重要。
全ゲーム中で『FFオリジン』のアクションやシステムが最高峰と思っているが、本作も少し調整すればそれに匹敵するレベルに到達するほど良く出来ていた。

ただし、敵の予備動作から攻撃までが早く、こちらが攻撃中にキャンセルガードできないため間に合わないことも多い。キャンセル性能が高すぎるとコマンドを使わずアクションのみでも攻略可能になってしまうものの、3作目は気持ちよさを重視して少しはキャンセルできるようにしてほしい。

●仲間たちとの連携技とパーティーレベル

本作では原作の9人中7人が仲間になり、そのうち3人をバトルメンバーとして編成する。しかし、編成しなかったメンバーもフィールド上で後ろを付いてくるうえに、戦闘中には援護攻撃などもしてくれる。
仲間と冒険してる感が大幅に向上するので、パーティー制のアクションRPGでは標準で採用してほしいほど素晴らしい要素。

また、戦闘面では仲間との連携アクションと連携技も追加されている。連携アクションはATBゲージ不要で発動可能な特殊行動やガードになっているため、アクションに深みが増している。
連携技は各キャラクターのATBコマンド使用回数を消費して発動できる必殺技のようなもので、キャラクター同士の関係性なども反映されたド派手なモーションを見れるうえに、ATBコマンドを使うために積極的にキャラチェンしたくなる設計にもなっていた。

連携技の習得にはパーティーレベルを上げる必要性があり、こちらは戦闘ではレベルが上がらずサブクエや探索をする必要がある。育成手段が全く違う方法で用意されてるのも上手い仕組み。

●おそらく初のサブクエストの正解の形

前提として、サブクエストとは「やってもやらなくてもいいもの」であるため、メインを補足するような重要なストーリーを描くべきではない。
しかし、そうなると街のNPCとの交流など、掘り下げられても興味が惹かれないものになるので、いわゆる「あっさりしたおつかい」がサブクエストのあるべき姿と思っていた。

本作のサブクエストは基本的に街のNPCの悩み事を解決するというもので、メインを補足するようなストーリーは描かれない。これだけならあっさりしたおつかいなので他タイトルでもよく見かける形。
しかし、本作は各サブクエストで一人の仲間がフィーチャーされ、サブクエストの過程で仲間との交流や絆が描かれる。これが本当に素晴らしかった。
やはりNPCを掘り下げるよりも一緒に冒険する仲間を掘り下げてくれた方が満足度が高く、そのうえでやらなくても問題ない程度の内容にもなっている。仲間がいるRPGだからこそ可能であり、一人旅のゲームでは絶対に実現できないサブクエストでもある。今後も仲間がいるRPGを作り続けてほしい。
ついでに時限サブクエがないことも評価点。

●豊富すぎるやり込み要素とミニゲーム

やり込み要素もあまりにも豊富。前述のサブクエストはもちろん、そもそもフィールドが広いのですべてのポイントを探索するだけでも膨大な時間がかかる。探索はめちゃくちゃ楽しい
原作にいなかったギルガメッシュ周りのクエストも、各エリアの連続クエストのように繋がっていく形式で良く出来ていた。

また、原作はシリーズ最多でミニゲームが多かったことから本作にも20種類近く用意されている。カードゲーム筆頭にどれも一定の面白さがある。とはいえ、RPGではどうしても探索と戦闘の方が面白いのでもっと少なくてもいい気はする。
バトルのやり込み要素も豊富で、ゴールドソーサーの高難度バトルは難易度ノーマルでは諦めたほど歯ごたえもある。ただし、パーティーレベルなどフル強化するには2周必須の調整になっているのは良くない。

●使いやすいUIと史上初の倍速機能

仲間が増えて、やり込み要素も増えたので煩雑になりそうだが、UIが洗練されていて必要な情報にすぐにアクセスできる。
アクセシビリティとしては、カットーシーンの倍速機能が革新的。ボタンを押すだけで倍速動作するのは他タイトルでも実装されているものの、本作ではボイスやBGMまで倍速になる。
サウンドまで倍速になるのはおそらく史上初の機能であり、他のスクエニタイトルにも実装していけば大きなアドバンテージになるはず。

●充実したMOD

UE5製なので早くからMODも充実している。特にパーティーを自由に編成できるMODは楽しさが段違いなのでこれを使って2周目をやる予定。
関連記事:PC版『FF7リバース』ヴィンセント/シド/セフィロス/ザックスも加入できるパーティ編成MOD

合わないところ、悪い点

●FT禁止区間の長さ(テンポの悪さ)

一番大きな不満点として、ストーリー進行でFT(ファストトラベル)ができない区間が長いことが挙げられる。もちろん、メインストーリーの都合上、ある程度制限されるのは許容できる。
しかし、本作はそのFT制限される期間が長すぎる。

基本的に一つの街やダンジョンで2,3時間のストーリーが展開されるので、その間はFTできない。これだけならぎりぎり許容できるが、ジュノン~コスタデルソルやコレル~ゴールドソーサーでは複数の街やダンジョンを連続で訪れる形なので、6時間以上OWの探索ができずに拘束される。これが非常につらい。

せっかくのOWなのに探索できないことがストレス溜まるので、もっと区切りを細かくしてFTできるタイミングを用意すべき。批判としてよく言われる「ミニゲーム地獄」の本質はミニゲームそのものではなく、このFT禁止区間で強制的にミニゲームをやらされることが原因と考える。
作り込んだ街やダンジョンを短時間で消化されるのがもったいないことは理解できるが、そこはサブクエストなどでカバーしてほしい。

●ジャンプできない

3Dアクション、しかもOWでジャンプできないのはさすがに意味不明。これは明確に減点要素。
自動パルクールのモーションや仕組みは良く出来ているので、それを活かしつつジャンプアクションも用意してほしい。

4.個人スコア

95点/100(最大100点)

※点数は「Steamおすすめする70点」を基準にレビュー方針に沿って加減点した感覚的なもの。

『FF7R』や『FF16』は一定の水準にはありつつも、望むようなアクションRPGとしては成り立っておらず期待外れな側面があった。
そして事前情報やPS5版の評判から期待してプレイしたところ、その期待を超えるほど素晴らしい出来だった。書ききれないほど加点要素が多いので100点でもいいくらいだが、テンポの悪さとジャンプできないのは最後までストレス要因だったので5点減点とした。
加点要素にも気になる点はあるので、3作目は改善されることを期待している。とはいえ、この方向性のままOWを飛空艇で飛べるようになるだけでも100点になるかもしれない。
-2025/8/12

キャラクター&ワールド、バトルシステム、シナリオ、マップ、ミニゲーム、アイテム、エネミー、シークレットといった 様々な面から徹底解説。
『ファイナルファンタジーVII』の全てをここに掲載
¥1,426 (2025/08/07 21:48時点 | Amazon調べ)

↑いいね貰えると励みになります