コロナ禍を経て国産新作ゲームのPC版がSteamなどで当たり前に発売されるようになりました。
長年のSteamユーザーであれば外部ストアで安く購入できることは周知の事実ですが、安くても外部ストアで購入した方がメーカーにとって利益が大きいということはご存じでしょうか?
あまり知られてないと思うので外部ストアについてまとめておきます。

1.『ドラクエ3』『FANTASIAN』『ロマサガ2R』『FF16』を安く買う方法

まずは安く買えるサイトを紹介します。
正規のSteamページは以下。 [24/11/7 対象タイトル更新]




この正規価格に対して2024/11/14現在、以下の外部ストアにて割引または還元付きで購入できます。
期限・条件・在庫状況はタイトルによって変わるので本項の対象タイトルは定期的に見直します。
タイミング次第でリンク先に割引がない場合は4項にまとめている外部ストアを探してみてください。何かしら割引かポイント還元があるはずです。

外部ストアタイトル販売額

定価
割引額
or還元額
(%)
条件
Green Man GamingDRAGON QUEST III HD-2D Remake6142円

7678円
1536円
(20%)
ゴールドランク
ダイレクトゲームズドラゴンクエストIII そして伝説へ…7670円

7670円
Amazon
ギフト500円
(6.5%)
+
77ポイント
(1%)
なし
Green Man GamingFANTASIAN Neo Dimension5200円

6500円
1300円
(20%)
ゴールドランク
Green Man GamingRomancing SaGa 2: Revenge of the Seven5456円

6820円
1364円
(20%)
ゴールドランク
Green Man GamingFINAL FANTASY XVI6160円

7700円
1540円
(20%)
ゴールドランク
Green Man GamingFINAL FANTASY XVI COMPLETE EDITION7920円

9900円
1980円
(20%)
ゴールドランク
※価格は全て税込表記
Green Man Gamingでは累計約10000円分購入していると永久ゴールドランクとなり割引表示される。

外部ストアで購入するにはアカウント登録が必要です。
また、クレジットカードを使う場合はセキュリティ向上のためにPaypalを介して購入するのがおすすめです。

2.なぜ安く買えるのか?仕組みを解説

さて、ここからが本題です。
我々ユーザーにとって安く買えるのはありがたいものの当然こういう疑問が沸くでしょう。
「メーカーはSteam手数料(ロイヤリティ、ストア税)が差し引かれるのに何故さらに安くできるのか?」
本記事では為替を無視してゲーム価格を1本10000円(100ドル)として解説します。

Steam手数料とSteamキー規約

Steamでゲームが売れた場合、販売価格から30%の手数料が差し引かれた金額がメーカー売上となります。
1本10000円のゲームが売れた場合、3000円がSteam手数料、7000円がメーカー売上です。
これに対して、外部ストアで20%オフ8000円など安く売られてしまうと、さらに30%2400円を差し引いた5600円がメーカー売上になってしまい、Steamで売るよりもメーカーは損をしてしまうように見えます。
しかし、実は外部ストアではSteam手数料はありません

概要
Steamキーは、顧客が製品ライセンスをアカウントに追加するためにSteamで一度だけ有効化できる、一意の英数字コードです。Steamキーは、開発者が他のストアや小売店でゲームを販売したり、ベータテスターやプレス関係者/インフルエンサーに無料で提供したりするのに役立つツールとして、弊社が提供する無料サービスです。

デフォルトリリース
Steamの最も一般的な種類のキーで、通常、SteamストアやリテールSteamキーパッケージに関連付けられています。 これらのキーは、リテール版や他のサイトでの販売に適しています。 顧客は、このタイプのSteamキーをいつでも有効化できますが、製品のロックが解除されるのは、Steamでのリリース後になります。 Steamでリリースされるゲームとアプリケーションは、他のストアでの配布や小売販売を支援するために、最大5,000個のデフォルトリリースSteamキーを受け取ることができます。 それ以上のSteamキーのリクエストは、個別に審査されます。 キーが追加提供される保証はありません。

Steamworks ドキュメント Steamキー

Steam開発者向けのドキュメントにはっきりと無料サービスであることが書かれてます。
ベータテストやメディア向けであれば無料であることは想定できますが、他ストア販売が目的であっても無料なのは太っ腹ですね。
リリース時に最大5000個のキーが発行でき、それ以上は個別審査されるために、外部ストアでは売り切れが発生することもあります。

外部ストアにおけるメーカー売上

Steamキーは無料発行できるので、1本10000円のゲームが外部ストアで売れた場合、そのまま10000円が売上になります。しかし、代わりに外部ストア手数料が発生します。
本記事で紹介する外部ストアは全てメーカー公認でキーを販売していますが、売り上げの配分については外部ストアとメーカー間との契約次第なので知る方法はありません。
とはいえ、メーカーとしてはSteam売上よりも損する契約はしないと想定できます。

例えば、外部ストアに対して1本に付きメーカー売上75%固定(セール時変動)という契約をしておくと、外部ストアが20%オフ8000円で売ったとしても、外部ストア手数料は500円、メーカー売上は7500円となりSteamで売るよりもメーカーの儲けが大きくなるわけです。
もちろん契約内容は想像でしかないですが、メーカー売上が70%を下回るような契約でわざわざ外部ストアで売るメリットは全くないので似たような契約の可能性は高いでしょう。
このような仕組みにより我々ユーザーが安く買えるわけです。パッケージ版のメーカー出荷価格と小売店の販売価格との関係に近いかもしれません。

少なくとも、外部ストア=メーカー公式ストアの場合は100%メーカー売上となるのでお布施としてメーカーを応援したいのであれば4項にまとめている公式ストアで買うのがおすすめです。

Steamキーが多く扱われる理由=手数料の差

ここまでSteam手数料を30%としてますが厳密には違います。
2021年の記事によると売上高が1000万ドル以上は手数料25%、5000万ドル以上は手数料20%とのこと。
参考:Microsoft、PCゲームのアプリストア手数料を30%→12%に

1本100ドルとすると、1000万ドル=10万本以上は25%、5000万ドル=50万本以上は20%となります。
Steamだけで50万本超えが見込める大作ゲームほどSteamでのメーカー売上が1本8000円に近づくので外部ストアとの契約が渋くなり割引されにくくなるかもしれません。

また、上記の記事にもあるようにEpicストアとMSストアでは手数料が12%です。
この2ストアでは10000円のゲームに対してメーカー売上が8800円もあるので、外部ストアに対して有利な契約をしにくくなります。
外部ストアでの販売がほとんどSteamキーなのはSteamが巨大だからというのも当然ありますが、手数料が安いストアではメーカー側に外部ストアで販売するメリットがなくなるというのも大きな理由です。

3.デメリット

ユーザーもメーカーもwin-winなSteamキーですがデメリットもあります。
逆に言えばこれらのデメリットがあるためにSteamキーの発行は無料サービスなのかもしれません。

レビューがスコアに反映されない&外部ストア購入がバレる

Steamキーは無料で配られる場合もあるためか、Steamキーで有効化したゲームにレビュー投稿しても全体評価に反映されません
実際にSteam購入と外部ストア購入のレビューを比較するとこんな感じです。

Steam購入のレビューは右側に★マーク
外部ストア購入のレビューは右側に☆マーク

星マークにマウスオーバーするとレビュースコアに影響する/影響しないと表示されます。
レビュー右上の星マークは以前は違うマークだったので変わる可能性はありますが、レビューへの反映方針は今後も変わらないでしょう。

たまに、海外価格と比較して高い(=おま値)という理由で低評価のレビューをみかけますが、右上のマークにより外部ストアで安く購入したうえでそういうレビューをしているというのはバレますしみっともないです。
そもそもゲームに限らず国によって物価が違うのは当たり前なので、おま値であることを理由に低評価するのは論点が外れているとしてフラグを付けられる可能性もあるので控えた方がいいでしょう。
もちろんクオリティやボリュームに対して純粋に価格が高いと判断して低評価レビューするのは問題ありません。

Steamポイントが貰えない

Steamで購入するとSteamポイントが貰えます。
しかし、外部ストアで購入したキーを有効化してもSteamポイントは貰えません。
とはいえ、Steamポイントは割引などに使えずポイントショップでプロフィール装飾品などと交換できるくらいなので興味なければ気にする必要はありません。

キー発行が遅いことがある

Steamで購入した場合、直後にDL&プレイ可能です。
しかし、外部ストアの場合は購入後にメールでキー通知→有効化しないといけないので若干のラグが発生します。
また、発売日前の予約購入の場合、メーカーから外部ストアへのキー発行が遅れてしまうと必然的に購入者へのキー通知も遅くなります。

何が何でも絶対に発売直後にプレイしたい場合はSteamで購入する方が確実ですね。
参考例として、GMGで2024年8月の『聖剣VoM』を予約購入した際は、Steam解禁(深夜1時)の数分前にSteamキーのメールが届きました。

返金できない

Steamで購入した場合、「2週間以内かつプレイ2時間未満」であれば無条件で返金してもらえます。
しかし、外部ストアで購入したキーを有効化してしまうと返金できません。
Steamとしては無料サービスで発行されたキーなので返すものがないわけです。

外部ストアによってはキーを有効化する前であればメールのやり取りで返金される可能性もありますが、購入者に一度でもキーを見られてしまうと返金後に悪用される可能性があるので基本的に返金不可と考えておきましょう。

キー有効化できないリスク

海外の外部ストアの販売ページには英語で「日本では有効化できません」という注意書きがされていることがあります。
結構目立つように書かれてますが、気付かずに購入してしまうとキーを有効化できずお金が無駄になります。
もしくは、「日本で有効化できる」キーを購入しても稀に有効化できないキーが送られてくることもあるようです。

実体験として、海外の外部ストアで「日本で有効化できないキー」を購入してしまい、その際はメールでやりとりして返金してもらえましたが「今回限り」と念押しされました。

セキュリティリスク

昨今はどんなサイトからも個人情報が漏洩するのが当たり前です。
Steamだけで購入すればSteamからの漏洩リスクしかありませんが、外部ストアも利用するとそこからの漏洩リスクも増えます。
とはいえ、ゲームに限らず複数サイトを利用するのことも当たり前なのでそこまで気にする必要はありません。

キー無効化やBANリスク

メーカー公認でキーを販売する「外部ストア」に対して、ユーザー間でキーを売買する「鍵屋」というものがあります。
本記事では「外部ストア」しか紹介しませんが、「鍵屋」についても触れておきます。

外部ストアなどで複数タイトルのバンドルを購入すると既に持ってるゲームと被ることがあります。そういった余ったタイトルをユーザー間で自由に売買できる場が「鍵屋」です。
しかし、「鍵屋」にあるキーは出処が不明瞭なのでハッキングなど犯罪に関わっている可能性もあり、また、ユーザー間の売買のためメーカーには全く売上がありません。
このような背景のある「鍵屋」に対してメーカーから厳しい批判がされたこともあります。
参考:「G2Aで買うぐらいなら違法ダウンロードして遊んでくれ」。Steamキーなどを扱う鍵屋「G2A」への批判が再び巻き起こる

さらに、「鍵屋」で購入したものが不正なキーであった場合はキー無効化や最悪アカウントBANのリスクもあります。

  • 著作権侵害またはハッキング
    これには、アクセス権限のない(「ハッキングされた」)Steamクライアントを使ってSteamにアクセスしたり、偽造のCDキーやWebサイト上にあるCDキーを登録しようと試みたりすることも該当します。
  • 不正購入されたギフトの有効化
    知らないユーザーからのギフトは受け取らないで下さい。
制限が科されたSteamアカウント

STEAMアカウントはValve社により管理されており、Valve社の「STEAM SUBSCRIBER AGREEMENT」と「STEAM ONLINE CONDUCT」に反する行為を行った場合は、アカウントが停止されることがあります。

<アカウントの永久停止になりうる行為>
海賊版やハッキングによる不正なCD-KEYの利用
・クレジットカードからの料金引き落とし時に、支払いを拒否した場合
・アカウント共有、アカウントハッキング
・フィッシング詐欺を実行した場合
・アカウント売買とトレード
など

カプコン よくあるご質問

というわけで「鍵屋」を使うのはおすすめしません。BANリスクを承知のうえで利用するのは自由です。

4.外部ストアまとめ

それなりに有名な「外部ストア」をまとめます。提携している国内大手メーカーも併記しておきます。
全てメーカー公認の提携ストアであり「鍵屋」ではありません。

●メーカー公式ストア

国内大手メーカーの公式ストアも立派な外部ストアです。メーカー公式ストアから買うと手数料なしで100%メーカー売上となります。
国内ストアなので日本語でやりとりできて安心感がありますし、キーが有効化できないというリスクもありません。
リンク先は全てデジタルコードのカテゴリとしてます。

スクウェア・エニックス e-STORE
Steamキー単品のほかグッズ付きSteam豪華版なども販売されてます。
また、購入金額に対して通常約3%+予約約6%ポイント還元され、ポイントは値引きとして使えます。(ゲームの値引きには使えなさそう?)

イーカプコン CAPCOM公式通販サイト
イーカプコン DigitalStore
Steamキー単品のほかグッズ付きSteam豪華版なども販売されてます。
また、購入金額に対して通常5%ポイント還元され、ポイントは値引きとして使えます。

コーエーテクモゲームス KOEI TECMO SPOT Online Shop
対象ゲームは少ないもののSteamキー単品のほかグッズ付きSteam豪華版なども販売されてます。
ポイント還元などはなさそう?

ASOBI STORE バンダイナムコ
Steamキー単品が販売されてます。
ポイント還元などはなさそう?

コナミスタイル KONAMI STYLE
Steamキー単品が販売されてます。
ポイント還元などはなさそう?

セガストア
Steamキーを扱うカテゴリはなさそうですが、セールキャンペーンとしてSteamキーが販売されたりしています。リンク先のキャンペーンはすでに終了しています。

国内大手の中でソニーにはSteamキーを販売する公式ストアはなさそうです。

Green Man Gaming

イギリス拠点の外部ストア。略称「GMG」。
ソニースクエニと提携していて予約購入では最安値であることが多いです。(リンク先はGMGのメーカーページ)
セール中などはSteamセール価格より安いことも多々あります。
購入価格に応じてXPが溜まりランクが上がると大きな割引を受けられるようになり、累計で約10000円分購入すると1000XPで永久ゴールドランクになれます。
以前はドル建て決済でしたが、コロナ禍で国内PCユーザーが増えた影響か日本語ページが整備され、販売価格も日本円正規価格に準拠したものとなりました。

[24/11/7追記] 2024年8月頃までは誰でも使える15%オフクーポンが常にありましたが、おそらく最近になって日本からは使用できないよう変更されたようです。一応新規アカウントでも多少の割引があったりしますが大きな割引のためにはゴールドランクになる必要があります。

Fanatical

イギリス拠点の外部ストア。
ソニーコエテクコナミと提携していますがコナミは古いタイトルしかアクセスできません。カプコンとバンナムも提携しているようですが該当ページへの日本からのアクセスは遮断されます。
販売ページに値引きクーポンがあったりします。
こちらも以前はドル建て決済でしたが、コロナ禍を経て日本語ページが整備され日本円表記になりました。

Humble Bundle

アメリカ拠点の外部ストア。1ドルから複数のゲームを購入できるとして有名です。
スクエニカプコンセガアトラスバンナムコエテクなど多数提携していてドル建てで購入できますが、製品ページに注意書きがないため日本では有効化できないリスクがあります。
月額11.99ドルのサブスク「Humble Choice」に加入すると毎月複数のゲームが貰えたり割引を受けたりできます。

GameBillet

イギリス拠点の外部ストア。
ソニー、カプコン、セガアトラス、バンナム、コナミと提携していてドル建てで購入することができます。
しかし、「×Doesn't Activate in JP=日本では有効化できない」と記載されてるタイトルも多いので探すのは少し大変です。

GamesPlanet

イギリス、フランス、ドイツ拠点の外部ストア。略称「GP」。
ソニー、カプコン、セガアトラス、バンナムと提携していてドル、ユーロ、ポンド建てで購入することができます。
しかし、「Will not activate in your region!=あなたの国(日本)では有効化できない」と記載されてるタイトルも多いので探すのは少し大変です。

ダイレクトゲームズ

2021年に誕生した日本拠点の外部ストア。法人は韓国パブリッシャーのH2 INTERACTIVE。
ソニー、スクエニ、D3Pなどと提携していて日本円で購入できますが新作はほとんど割引されません。
購入金額に対して四捨五入で1%ポイント還元され、ポイントは値引きとして使えます。
キャンペーンでポイント増額やamazonギフト券など多めに還元されたりします。

Amazon PCゲームストア

説明不要のAmazonでもSteamキーは販売されてます。
スクエニ、カプコン、コエテク、フロムなど多数の国内メーカーが販売していて、新作が割引されるイメージはあまりないですが、大規模セールに合わせたキャンペーンを併用するとお得に買えるかもしれません。
ちなみにAmazon手数料(ロイヤリティ)は10000円以下だと10%なのでメーカー取り分は90%になります。

以上です。
ユーザーもメーカーもwin-winな外部ストアを有効活用していきましょう。
-2024/8/6

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