『エルデンリング』(ELDEN RING)の感想&レビューです。

レビュー方針は以下の通り。

レビュー方針

●ジャンルを問わず一緒に戦う仲間がいないゲームは問答無用で強制的に-10点
⇒個人的な絶対指標であり一人旅だったりレースやパズルや音ゲージャンルなども最大90点となる

●動かす楽しさ、自由度、戦闘システム、成長要素やカスタマイズ性などゲーム媒体ならではの体験を重視

●プレイせずとも動画で見れたり存在しない場合もあるためストーリーの良し悪しは採点対象外(ゲーム媒体という特性を活かしたストーリーならば好みで加点することもある)

●好きなジャンルであるアクションRPG(ライク)は加点

●動かす楽しさが損なわれるので奥行きのない横スクや3Dでもジャンプできない場合は減点

●順序や分岐などプレイヤーによって体験が変わるストーリーであれば加点

●イベント(カットシーン)や戦闘やロードが長い多いなどテンポが悪いと減点

●サブクエ、エンドコンテンツ、ミニゲーム、周回要素などでボリュームがあれば加点(水増しや作業感の強いものはNG)

●苦手な一人称視点は減点(ホラーなら許容)

●世界観、キャラクター、衣装チェンジ、モーション、フィールド、グラフィック、アートデザイン、イベント演出、BGM、SE、エフェクト、物理演算、オブジェクト破壊、ボイス対応、オンライン要素、販売価格などは好みで加点

●装備破壊、所持数や重量制限、空腹度、ダッシュ時スタミナ消費、取り返しのつかない要素などめんどくさいだけの仕様は基本的に減点(ダンジョン攻略や戦闘中のみの難易度の一環になっていれば許容)

●操作性、UI、キーコンフィグなどのアクセシビリティ、チュートリアル、解像度、フレームレート、翻訳品質などはプレイした時期の標準未満であれば減点
⇒総合的な「ユーザビリティ」=「遊びやすさ」であり必然的に古いゲームや小規模タイトルは点数が下がる

●新たな体験に繋がるこれまでにない新規性や革新性や独自性があれば加点

●遊びの幅が拡張されるMODやチートがあれば好みで加点

各項目の加減点に上限はない
⇒ある項目が突出して良かったり悪かったりすればそれに依存した点数となる

本編の膨大なアイテム・会話・イラストをテーマ別に抜粋、要約して掲載するほか、DLCの関連情報を収録。

1.概要


『スカイリム』『ブレワイ』に並ぶ4大GOTYを制覇した伝説のゲーム。
ソウルライクを生み出したフロムソフトウェアによるフルシームレスなオープンワールドアクションRPG。
荒廃しつつも美しいダークファンタジーな世界を舞台に、大量の装備や自由度の高い成長システムによる多彩なビルドで高難易度な戦闘やダンジョン攻略できることが特徴。
未プレイながら『ダークソウル』とほとんど同じシステムとのこと。

おそらくゲーム中で流れないストーリートレーラーでありプレイ前に見ておくべき動画
項目内容備考
発売日2022/2/25
ハードPC/PS5/PS4/XboxX/S/One
外部ストアなしフロム作品は外部ストアにない
メタスコア96
ユーザースコア8.0
オープンスコア95
モビースコア9.3
Steamレビュー92%非常に好評
Amaonレビュー4.6PS5版
ゲームカタログ良作
平均クリア時間100時間
ストーリーを教えて貰うwikiなし
各スコアは執筆時点のもの

2.購入価格やプレイ記録

発売当時はフロム作品を触ったことがなく、2022年に半額で購入した『SEKIRO』が初めてプレイした死にゲー。また、ほぼ同時期に『FFオリジン』や『Sifu』もプレイし、本作の前に『AC6』もクリア済。

『エルデンリング』は評判を聞いてやりたかったもののタイミングを逃してセールを待ち続けて2024年始の40%オフセールで購入。120時間かけてクリアした。それでも1/3ほど未探索エリアが残っており全エリア全ダンジョン全ボス攻略すると200時間以上かかった。

3.レビュー

他社の10年先を行くレベルデザイン

本作でしか体験することの出来ない細部まで練られた圧倒的な世界観広大ながらも緻密に計算され作り込まれたシームレスなフィールドが凄まじい。この加点だけで満点になるレベル。

まず、本作はダークファンタジーな世界観ながら、他作品によくあるエルフやドワーフのような見覚えのあるような設定は一切なく全て見たことがないオリジナルな世界となっている。
「褪せ人」「デミゴッド」「二本指」「黄金律」「運命の死」などなど独自の固有名詞が大量に登場するため、初見で理解することは困難を極めるもののゲーム中に用意された大量のテキストから背景を読み解けることも魅力。

さらに、この世界観は作り込まれたフィールドでも表現されており、オブジェクト配置による環境ストーリーテリングも行われつつ、新たな土地に到着すると誰もが感嘆するような印象的な景観が広がるように計算されている。
その上で、本作は他作品のような滑空がなく落下死するため、広大なオープンフィールド自体が大まかにルートが定められた超巨大なダンジョンとしても機能している。しかも広大な地下フィールドまである。
さらに驚異的なのは全てがフルシームレスでつくられていること。遠目では単なる背景でしかなかった建造物や地形がそのまま複雑なダンジョンとなっており、内部から外の景色が見えるのは感動を覚える。
また、フィールド上の3次元的な隙間を埋め尽くすほど大小70ほどのダンジョンが用意されているにもかかわらず、その全てが異なるコンセプトで作られていて常に新鮮に挑戦できる。レガシーダンジョンと呼ばれる大きなものは隅々まで探索すると5時間以上かかるほど構造も複雑なのに、隠し通路やショートカットが上手く配置されていてどうやって設計しているのが想像もつかない。
他社がこのレベルに達するのは今後10年かかるほど凄い。

ちなみに、オープンワールド(オープンフィールド)でダンジョンまでシームレスな作品はこれまでに『FF15』しかプレイしたことがないが基本的に地下ダンジョンのみ。他に『ウィッチャー3』や『ドラゴンズドグマ2』などもシームレスダンジョンらしいがダンジョンの出来が凄いという評判は聞かない。
唯一『Outer Wilds』は『エルデンリング』のフィールドに匹敵する(規模は小さい)と感じたがこちらは戦闘のないパズルアドベンチャーなので毛色が異なる。

黄金樹の後ろにうっすら見えている範囲まで全てシームレスに繋がっている上に建築物内部はそのまま複雑なダンジョンとなっている

カスタマイズ幅は広いがアクション自体はイマイチ

本作の戦闘については、ビルドやカスタマイズは楽しいもののアクションはイマイチという感想。
装備品、消耗品、技、魔法、召喚などなど4000ものアイテムが存在するらしく、ほぼ全てが一品物で全てに世界観を補足するフレーバーテキストも用意されている。
種別だけで29種類もある武器は左右それぞれ3つずつ装備でき、片手持ち、両手持ち、二刀流に加え、弓を装備すれば遠隔攻撃、杖を装備すれば魔法攻撃なども可能。これにより多彩なカスタマイズや戦い方が可能となり、クリア時点でのビルドはおそらく人によって全く異なる。

一方で、ベースとなるアクションが気持ちよくない。具体的には各モーションがもっさりしており(よく言えば重厚感がある)、キャンセルがほぼできない。それでいて入力受付時間が長い。
例えば、攻撃中に回避入力すると攻撃モーションの終わりにようやく回避が発動するため、ボタン入力から回避開始までにかなりのラグがあるように感じてしまう。押した瞬間に動かないため思い通りに動かす楽しさが明確に損なわれている。もちろんあらゆる行動をキャンセルできるのはやりすぎだが『SEKIRO』や『AC6』の方が動かしていて気持ちよかった。
また、パリィシステムがあるものの技の一つという位置付けなので自由に使えない。パリィはどんなビルドでも使える基本アクションとした方が面白さに繋がるはず。

フィールドやカスタマイズをさらに楽しめるように、本作は敵が強くなる周回要素に加え、オンライン協力やPVPも用意されている。買い切りゲームなのに常に同接上位なのも頷けるほど無限に遊べてしまう。

無視できない多くの不満点

無視できない不満点も結構ある。

一つ目は装備制限が多い
特定のステータスを超えないと能力を発揮できないステータス制限、回避できなくなる重量制限、強化アイテムが必要な強化制限があり、大量にある装備品や技や魔法を自由に装備できない。これらの制限は難易度の一環として機能しているので問答無用でダメなわけではないが、三つも制限があると窮屈すぎる
ステータス制限についてはレベル上げの目標やビルドの差別化に繋がっているので、重量制限をなくしてほしい。防具も含めて重量制限があるので見た目にも関わってしまう。
強化アイテムについては寄り道しないと入手量が限られているため、せっかく新たな装備を入手しても強化できずに結局使えないという状況になっている。寄り道せずともメインの進行に応じて強化アイテムを購入できるようにして欲しい。

二つ目はチュートリアルが少なすぎる
『ダークソウル』プレイ済みを想定しているのかゲームシステムについての説明が少ない。公式のオンラインマニュアルゲーム序盤のTIPSを見て初めて知った要素がいくつもある。上記のリンクもゲーム内では触れられていない。一度知ってしまえば問題ないとはいえゲーム中でのTIPSを増やすべき。

三つ目はUIのユーザビリティが低い
メニューUIについては最初こそ戸惑うものの慣れればいいし、チュートリアルやTIPSがないことについても一応調べてしまえば問題ないのだが、一部のUIについては常にストレスを感じるほど酷い。
例えば、技(戦灰)の付け替えメニューでどんな技か詳細を確認できない。わざわざアイテム一覧で技の説明を確認したあとに鍛冶屋で付け替えをする必要がある。そもそも技の説明がテキストのみなのも不親切であり実際に使ってみないとモーションや威力が分からない。全アイテムにフレーバーテキストを用意できるのなら技や魔法の使用動画を用意すべき。現代のAAA作品ならあって当たり前である。

その他ユーザビリティの低下に繋がるUIを以下に列挙する。
・特殊効果のある装備品がデフォルト表示で確認できない。わざわざフレーバーテキストを読む必要がある。
・画面中央にはボスHPよりも自キャラのHPやスタミナを表示すべき。『SEKIRO』配置がベスト。
・バフや状態異常アイコンの説明がゲーム内に一切ない。
・状態異常蓄積ゲージが敵に表示されない。効かないのか耐性が高く蓄積が遅いのか判断する術がない。
・体幹システムがあるのに体幹ゲージがない。(MODで追加すると明らかに面白さが向上した)
・パリィ不可の攻撃が不明。『SEKIRO』の「危」のような表示すべき。
・致命の一撃が入るタイミングや位置関係が分からない。『SEKIRO』の赤マークのような表示すべき。
・落下死する高さが見た目で判断できない。調べるアイテムはあるもののUIで何かしら表示すべき。
・一度見たムービーのオートスキップがない。ボス戦で何度も見せられてその度に手動でスキップするハメになる。

四つ目は一部のボスが理不尽
死にゲーなので高火力や高機動などによる高難易度は構わないものの、本作の後半は当然のように複数ボス戦となる。複数ボスによる連携やギミックなどが用意されているならともかく、雑に複数配置してるように感じられる。とはいえ、ボス戦では全て召喚可能であり、マルチによる協力も可能なのでプレイヤー側も複数前提と思えばギリギリ許容範囲。
敢えて不満点の項目として挙げたのは、本作のラスボスがあまりにも理不尽に感じたたため。複数ボスではないもののボス連戦の2戦目のためモーションを覚えるのに毎回時間がかかる上に、そもそも巨大なのでモーションが見えない、ボスが逃げまくって攻撃できないなど純粋に戦ってて楽しくなかった。これまでプレイした死にゲーで断トツのクソボスであり、これがラスボスなのも相まって減点せざるを得ないほどイライラした。

最後に五つ目はNPCイベントの導線があまりにも不親切。本作で最もストレスを感じた要素。
本作にはクエストマーカーがないものの全てのNPCにはサブクエストに相当するものが用意されている。しかし、ほとんどのNPCは行先を告げずに移動してしまい、ノーヒントで広大なフィールドからNPCを探し出して続きのイベントが見れるという作りになっている。しかも、メインシナリオ進行(=フィールド探索)によりイベントフラグが折れてしまうものが多く、いつの間にかNPCが死亡したりして進行不可となってしまう取り返しのつかないものばかり。私はNPCの金仮面卿には結局会えなかった。
プレイヤーによって体験が変わるのは間違いないが、選択肢による変化ではなく、探索することによりイベントがいつの間にか見れなくなる体験は面白さに全く繋がっていない
UIやユーザビリティにも繋がるが全アイテムにフレーバーテキストを用意できるのなら、キャラクター図鑑やクエストリストなどを用意してイベントの進行状況や行先や期限などを示すべき

MODについては以下にまとめた。
関連記事:『エルデンリング』V1.10対応 初見でもやクリア後もおすすめのシステム系MOD
関連記事:『エルデンリング』シリーズ作品別のキャラクターMODまとめ

4.個人スコア

89点/100(最大92点)

※点数はレビュー方針に沿った感覚的なもの。70点あたりがSteamでおすすめするライン。

本作には仲間がいないが、ボス戦では召喚できたり一部のボス戦はNPCを呼べるので-8点相当。
世界観とフィールドの出来だけで92点満点となり、そこから不満点を-3点として89点となった。挙げた不満点は合計で-10点くらいの減点要素だが、他社の10年先をいく世界観とフィールドの加点の方が上回る。
仲間がいないために結果的に90点未満となったが、実際、同年のDLC込み『FFオリジン』の方には仲間もいてアクションとカスタマイズの出来がよく個人評価は高い。

本作の設定的にも一人旅が不自然である上に、ボス戦では複数が基本の調整になっているので、フロムにはAIの仲間がいる作品に挑戦してほしい。仲間がいても死にゲーとして成立するのは『FFオリジン』で実証済み。
とはいえ、1周200時間疲れたものの飽きずに遊んでいられたので傑作なのは疑いようがない。
-2024/4/26

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