『TUNIC』のレビューです。

70点基準で加減点、「仲間」がいないと-10点、ゲーム媒体ならではの体験重視、テンポや快適性が悪いと減点、ストーリーは採点対象外などのレビュー方針は以下のリンク。
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1.概要
2Dゼルダっぽい雰囲気の見下ろしソウルライク。
独自言語で書かれた取扱説明書をゲーム内で集めて、ダンジョン攻略を進めていく。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 発売日 | 2022/3/16 | |
| ハード | PC/PS5/PS4/XboxOneXS/Switch | |
| 外部ストア | なし | |
| メタスコア ユーザースコア | 85 7.9 | PC版 |
| オープンスコア | 85 | |
| Steamレビュー | 91%非常に好評 | |
| Amaonレビュー | ★4.8 | 海外Switchパケ版 |
| ゲームカタログ | なし | |
| 平均クリア時間 | 16.5時間 | |
| ストーリーを教えて貰うwiki | - | |
| スタッフロール(クレジット)人数 | 233人 |
2.購入価格やプレイ記録
『Outer Wilds』っぽいゲームとしてどこかで紹介されていて、結構前からゲームパスの「後からプレイ」に入れていた。今回『NINJA GAIDEN 4』のためにゲームパスに加入して、12時間でクリアできるという情報を見て『TUNIC』をプレイ開始。
結果的に真エンドまでに20時間かかった。最後は駆け足でプレイしたのと、衝撃的な体験ができたので、フルコンプすべくセールの時にMicrosoft版を買う予定。
ちなみに『Outer Wilds』は、ストーリーテリング含めたストーリーについては生涯ベストゲーム。とはいえ一人称視点のアドベンチャーなのでゲームとしては部妙な部類。
3.レビュー
新規性、良い点
●明るい世界観の見下ろしソウルライク
最初に断言しておきたいのは、本作はゼルダライクではない。見た目だけが明るい2Dゼルダ風なだけで、ゲーム性も難易度も完全にソウルライク。
死ねば休息ポイントで復活し、休息すると回復アイテムと倒した敵も復活、回避やパリィにスタミナを使う、ダンジョンは基本的に一本道でショートカットを開通させながら進む。環境から断片的に語られるストーリーテリング、ゼルダっぽい謎解きもない、まごうことなきソウルライク。ただし経験値によるレベルアップはない。
多くのメディアや紹介でゼルダライクと言われてるのがもったいない。というかゼルダを期待してやると中身がソウルライクなので合わない可能性が高い。とはいえ、アップデートで難易度イージーが追加されている。無敵モードもある。
戦闘やアクションはシンプルだが、見下ろし視点のソウルライクかつ明るい世界観のソウルライクというのが斬新だった。
『Outer Wilds』と違って戦闘があるおかげで序盤から一定の面白さもある。
●ゲーム内取説による「システムテリング」
最大の特徴は、チュートリアルや操作方法の説明すらなく、取説の断片を集めることでシステム自体が徐々に明かされる仕組み。ストーリーの語り方をストーリーテリングと呼ぶが、本作はシステムを語る「システムテリング」を実現したゲームと言える。
この取説の断片自体も凄い。紙の本としての取説の1枚が落ちているという形式なので、1枚に対して見開きページの片側とその裏面で別の見開きページも書かれている。しかも、1冊の取説として成立する体裁も整っている。それなのに進行に応じて拾える1枚が絶妙で、そのときに必要な操作が分かるとともに、見開きのもう一方(後で拾うページ)が隠されていることで、そこに何が書かれているのか自然と気になる作り。
『Outer Wilds』で新しい情報を見つけるのが最大の報酬であったように、本作では新しい取説ページを見つけたいという欲求が凄かった。
取説で明かされる情報も凄い。多くのゲームではボスを倒したりキーアイテムを入手することで先へ進める作りとなっており、本作も基本的にそういう形式。さらに、本作ではゲーム開始直後からすべてのシステムや操作が組み込まれており、プレイヤーがそれを知らないだけという状態。取説を拾うことで、「こんなシステムがあったのか」という衝撃が何度もあるとともに、それによって行ける場所が増えることもある。
●「見え方」が何度も変わる衝撃
本作の取説は単なる説明に留まらない。後で手に入る取説によって、序盤に手に入れた取説の見え方が変わっていく。シンプルな操作説明やUI説明のページですら、見え方が変わることで3段階ほどの情報が隠されていたりする。
取説の体裁を保って裏表の1枚を絶妙に配置しつつ、しかも各ページに情報を仕込んでいる設計が凄すぎて、プレイ中は何度も「すげえ」と連呼していた
同時に世界の見え方も何度も変わる。変化の大小はあるものの、特に終盤には世界が全く違って見える大きな仕掛けが用意されている。
同じように見え方が変わるゲームはいくつかあるが、取説とともに段階的に見え方が変わっていくゲームはおそらく本作しかない。
合わないところ、悪い点
●変化のないアクションと装備枠
回避やパリィのできるソウルライクだが、武器が基本的に剣しかない。また、装備枠が3つあって魔法や爆弾やアイテムをセットできるのだが、一つはこの剣に固定されてしまう。
ビルドみたいな概念はほぼなく、回避と剣に頼ったバトルになりがち。武器枠は別途用意してほしかったのと、武器も進行に応じて増えてほしかった。
ついでにパリィの発動があまりにも遅すぎて全く使い物にならない。段差や隙間を超えるジャンプのようなアクションも欲しかったところ。
●不親切なUI
ゲームの仕様として仕方ないとはいえ、本来はUIに表示されるべき情報が取説に載っている。
しかも、アクセサリのような装備品があるものの、その効果が取説を見ても分からない。
結局クリアした今でも分からない装備品が残っている。
また、明確な行先も示されないので、中盤はどこに行けばいいのかちょっと迷うことになった。
●物理メモが必須な謎解き
本作は普通にクリアする分には謎解きはほぼ必要ない。
しかし、真エンドを見るための謎解きがあり、しかも物理的な紙へのメモが必須なもの。仮に画像記憶のような特殊能力を持っていたとしてもおそらくメモが必要になるレベル。
個人的に謎解きは「解き方」が分かった瞬間が一番気持ちいいので、解き方が分かってるのに解くためのメモしている時間は無駄に感じる。仮にメモさせるとしてもゲーム内で完結してほしい。
●一部の理不尽な難易度
難易度もソウルライクなので、20回くらい挑んだボスもいた。とはいえ、ソウルライクは好きな方なのでこれは問題ない。
後半に雑魚ラッシュのようなボス戦があり、これがちょっと理不尽。自身の強化がリセットされた状態で6ウェーブを乗り越える必要がある。結果的に3回目でクリアはできたものの、途中で失敗したら最初からになるので、難易度を下げることを本気で悩んだ。1戦が長くなることが問題なので3ウェーブくらいにすべき。
4.個人スコア
87点/100(最大90点)
※点数は「Steamおすすめする70点」を基準にレビュー方針に沿って加減点した感覚的なもの。
仲間がいないので最大から-10点。
取説によるシステムテリングというかつてない体験ができただけでほぼ満点となるものの、ゲーム部分が不親切であったり戦闘に変化がないので、まとめて3点減点とした。
衝撃度だけでいえば『Outer Wilds』とほぼ同等。全体的なストーリーとしては『Outer Wilds』が上で、戦闘があるのでゲームとしては『TUNIC』が上という感じ。
レビュー方針によって点数は伸びないが、点数以上にすさまじい体験ができることは保証できるので是非プレイしてほしい。
-2025/12/26




感想は自由ですからね 本作はパリィ偏重でターン制ならではの戦略性に乏しかったの…